夜更の雨
――
ルレーヌの面影――
雨は 今宵も 昔 ながらに、
昔 ながらの 唄を うたつてる。
だらだら だらだら しつこい 程だ。
と、見るル氏の あの図体が、
倉庫の 間の 路次を ゆくのだ。
倉庫の 間にや 護謨合羽の 反射だ。
それから 泥炭の しみたれた 巫戯けだ。
さてこの 路次を 抜けさへ したらば、
抜けさへ したらと ほのかな のぞみだ……
いやはや のぞみにや 相違も あるまい?
自動車 なんぞに 用事は ないぞ、
あかるい 外燈なぞは なほの ことだ。
酒場の 軒燈の 腐つた 眼玉よ、
遐くの 方では 舎密も 鳴つてる
青空文庫
舎密
舎密(せいみ)とは江戸時代後期の蘭学者の宇田川榕菴がオランダ語で化学を意味する単語 chemie [xeˈmi] ( 音声ファイル) を音写して当てた言葉。
これっかな↓
〈巷に雨の降るごとく〉
雨はしとしと市(まち)にふる。
アルチュール・ランボー
巷に雨の降るごとく
わが心にも涙降る。
かくも心ににじみ入る
このかなしみは何やらん?
やるせなき心のために
おお雨の歌よ!
やさしき雨の響きは
地上にも屋上にも!
消えも入りなん心の奥に
ゆえなきに雨は涙す。
何事ぞ! 裏切りもなきにあらずや?
この喪(も)そのゆえの知られず。
ゆえしれぬかなしみぞ
げにこよなくも堪えがたし。
恋もなく恨みのなきに
わが心かくもかなし。
今日はとても良い天気
でも ちと寒い
毎年良く咲いてくれます。
海月