今日も薊の紫に、
刺が光れば日は暮れる。
何時か野に來てただひとり
泣いた年増がなつかしや。
カステラ
カステラの縁の澁さよな、
褐色の澁さよな、
粉のこぼれが眼について、
ほろほろと泣かるる。
まあ、何とせう、
赤い夕日に、うしろ向いて
ひとり植ゑた石竹。
散歩
過ぎし日のおもひでに
植物園を歩行けば、
霜白く、薄黄水仙の芽も青く、
鳴く鳥すらもほのかなれや、佛蘭西の赤靴…………
骨牌のこころもちに
クロウバのうへをゆけば
朝はやく、あるかなきかの香も痒く、
鳴く蟲すらもほのかなれや、佛蘭西の赤靴…………
かの蒼白き年増を
恐れて、そつと歩めば、
日は光り、いまだ茴香の露も苦く、
鳴くこころすらもほのかなれや、佛蘭西の赤靴…………
隣りの屋根
夕まぐれ、たれこめて珈琲のにほひに噎び、
古ぼけし和蘭陀自鳴鐘取りおろし拭きつつあれば
黄に光るザボンの實ぽつかりと夕日に浮び、
黒猫はひそやかにそのかげをゆく…………
あたたかき足跡のつづきゆく瓦の塵よ。
風重きかの屋根に香濃き艸こそなけれ。
りゆく日のあゆみたまゆらに明ると見つつ、
過ぎし日のやるせなき思ひ出はまたりゆく。
見果てぬ夢
過ぎし日のしづこころなき口笛は
日もすがら葦の片葉の鳴るごとく、
ジブシイの晝のゆめにも顫ふらん。
過ぎし日のあどけなかりし哀愁は
こまやかに匂シヤボンの消ゆるごと
目のふちの青き年増や泣かすらん。
過ぎし日のうつつなかりしためいきは
淡ら雪赤のマントにふるごとく、
おもひでの襟のびらうど身にぞ沁む。
吹き馴れし銀のソプラノ身にぞ沁む。
過ぎし日の、その夜の、言はで過ぎにし片おもひ。
青空文庫
年増の人と何かがあったのか? なかったのか?
度々出ている
カステラ ザボンは長崎の名産
トランプ館という建物が柳川の隣の大牟田市にある
・・・カタカナが多く
エキゾチック? 西洋バテレン?
長崎のオランダの影響かな
フランスも出ている フランスの赤い靴に 何か思いがあるのだろうか
小さいころ頃 兄が修学旅行長崎土産にザボン漬けを買って帰ったことを思い出す
今でもザボン漬けは好きですよ。
そうそう ボンタン飴も小さい頃よく食べていました。
好きな飴はボンタンアメ グリコのおまけつきキャラメル(美味しくなかった)
カバヤも美味しくなかったけど図書券?を集めていた
この頃わが家は豊だったんだ。
セイタカアワダチソウ↓
海月