日本男子テニスは錦織だけじゃない!そう感じた3日間 | 茶漬けのソーダ水|記色

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鉛筆-落描き-失敗と失望-時間と時代-親不孝は親孝行-俺の雑な道標

スポーツ報知目記者コラム・大和田 佳世

 右手首故障で昨夏から休養していた男子テニスの錦織圭(28)=日清食品=が、ニューヨーク・オープンでツアー大会に復帰した。「練習」と位置づけた2月1週目のツアー下部大会ダラス選手権では優勝。その頃、錦織不在の日本代表チームは盛岡で国別対抗戦デビス杯ワールドグループ(WG)1回戦イタリア戦を戦っていた。

 初日のシングルス第1試合のダニエル太郎(25)=エイブル=はフルセットで敗れはしたが、ファビオ・フォニーニ(30)と3時間56分戦い、相手エースの体力を削った。第2試合では世界ランク41位の杉田祐一(29)=三菱電機=が、元世界ランク18位のアンドレアス・セッピ(33)に逆転勝ち。2―2の最終セット5―6でマッチポイントを握られてから追いつき、タイブレイクを制す3時間28分の死闘だった。

 2日目のダブルスには全豪4強のマクラクラン・ベン(25)と内山靖崇(25)=北日本物産=のペアが登場。15年全豪オープン優勝のシモーネ・ボレリ(32)とフォニーニと互角に渡り合った。

 ダブルスは長年、弱点と言われてきた。WG(相当を含む)では入れ替え戦を除く13戦で、勝利は1921年インド戦の熊谷一弥、清水善造、2014年カナダ戦の錦織圭、内山靖崇の2度のみ。錦織のシングルスで2勝を稼ぎ、あとの1勝をどう稼ぐか、という星勘定が現実的だった。しかし昨年9月のWG入れ替え戦ブラジル戦からダブルスを専門とするマクラクランが入り、状況は一気に変わった。自らもダブルスで活躍した岩渕聡監督(42)は「彼が入って、ダブルスが固定できた。初めてこのレベルで、ダブルスで勝ちにいける」と期待を寄せる。

 単複合わせて11時間半以上もコートに立ったフォニーニが、チームの勝利を決めた瞬間に大の字になったのは、本当に苦しい試合だったことを感じさせた。コラド・バラズッティ監督が「日本はいいチーム。杉田は去年から着実に向上している。錦織も帰ってくる。非常にタフなチームになるだろう」と評価したのは、お世辞ではないだろう。

 数字上は1勝3敗。同じく錦織を欠き、1勝4敗でフランスに敗れた昨年と変わりない。しかし、相手もコートも違うとはいえ、内容はまるで違う。どの試合も、あと1ポイント取れていれば…と思わせる内容だった。岩渕監督は「4試合すべてが大接戦だった。悔しさもあるが、ネガティブな考えはない」と総括した。日本男子テニスは、錦織だけじゃない。本当にそう感じた3日間だった。(記者コラム・大和田 佳世)