全米プロチームの奇妙なネーミング | 徒然逍遥 ~電子版~

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こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。

 

 

10月16日付の読売新聞の国際欄に「NFLチーム名 差別論争」とでっかい見出しが。しかもご丁寧に二葉の写真付で。

 

参考までにNFLNational Football League)とはアメリカンフットボールのプロリーグのこと。
 

問題になっているのは『ワシントン・レッドスキンズ Washington Redskinsというチーム名。
 

どういうことかというと、レッドスキンすなはち「赤い肌」アメリカ先住民の蔑称であるとの抗議の声が以前からあがっており、名称変更を要求されているということ。長年訴訟問題化している。
 

今回注目すべき出来事は、オバマ大統領自ら今月5日のAP通信インタビューに対して「もし私がオーナーで、チーム名が相当数の人々を不快にさせているなら、変更を考える」と発言したこと。つまり、名称変更も考えてみてもいいんじゃないかなあ、と語ったことにある。
彼は大統領就任以来人種問題への反応に慎重な姿勢をとってきたのでひと際注目されるに至った。
 

では一体誰が苦情を訴えているのだろうか。そこはやはり先住民団体が関係している。
ある変更を求める団体の代表は「チーム名(レッドスキンズ)は、先住民が銃口を向けられ、郷里から追い出された時に使われたつらい肩書」と述べている。それは知らなかった。
 

しかしチーム側も負けられない。1932年創立。1933年から『レッドスキンズ』を名乗ってきた歴史がある。ただし名付けた時スー族から抗議されたらしい。
ゆえに名称変更を拒む姿勢は崩していない。オーナーもチーム名は「強さ、勇気、誇り、尊敬」の象徴だと主張する。
また、先住民対象にした調査でチーム名を侮辱的とみなす回答が少数派であることを盾に変更しない考えを示した。
 

ところが地元紙は昨年来名称使用していないという。何と書いているのだろうか。またメディア界でも使用を避ける動きが見られるという。何と呼ぶのだろうか。
 

NFLには『カンザスシティ・チーフス KansasCity Chiefsもある。つまり「酋長」だ。ロゴマークも矢じりである。もっとも当時の市長のニックネームだったと言われているが。
 

他方大リーグには『クリーブランド・インディアンズ』『アトランタ・ブレーブスなんてのもある。ブレーブスBravesとは「インディアンの勇者」を指す。応援も石斧を振りかざす「トマホークチョップ」だ。やはり以前から「野蛮だ」「差別的」等批判の的になっている。
 

ここ日本にもある。法政大学アメリカンフットボール部『トマホークスだ。以前はロゴが先住民の横顔を略したマーク。今は堂々とトマホーク=石斧がヘルメットに描かれている。海の向こうからクレームは無いのだろうか。ちょっと気になるところではある。
 

確かに北アメリカ大陸開拓史は先住民弾圧の暗黒面が影を落としていることは論をまたない。数々の虐殺事件を国民的トラウマと唱える人もいる。
映画『シャイニング』 The Shining ('80)の舞台となったホテルも先住民の墓地の上に建設したという設定だった。その結果あんな惨劇が繰り返されたんだ、と恨み言を言いたくなるようだ。ここにも先住民を迫害してきた来歴が通底しているではないか。
 

このような問題は政治的・歴史認識が異なると踏み込めない領域が確実に存在するゆえ、我々は軽々しくどっちがいいとかのコメントは留保せざるを得ない。彼ら自身が示す判断を尊重するしかないだろう。
 

 

今日も最後まで目を通して下さりありがとうございました。

 

徒然逍遥 ~電子版~-レッドスキンズ徒然逍遥 ~電子版~-レッドスキンズ-ライン

        *レッドスキンズ ロゴマーク*     *ラインメン*

 

Washington Redskins

創立:1932年 「ボストン・ブレーブス」

   1933年 「ボストン・レッドスキンズ」

   1937年 「ワシントン・レッドスキンズ」
スーパーボウル優勝回数:3回 1982年、1987年、1991
チームカラー:バーガンディ、ゴールド