ＳＫ

井戸さんの業態に関しては、お二人はどう思いますか。

ＴＴ

お店があったけど、ダメだったところにコストパフォーマンスがいい業態を持ち込んだということが、認めるべき部分ですよね。

ＳＫ

死んでいたマーケットを蘇らせたというところですかね。

ＴＴ

そうですね。

ＣＴ

井戸さんとしては本部がとても簡素化しているので、店舗が増えても組織的なコントロールができるみたいなことをおっしゃっていましたが、でもやはり標準化というか統一性というか、それは崩れてきそうですよね。

ＳＫ

もともと標準化を目指していない…食材の標準化はあっても、それを提供するためのマネージメントの標準化はできていないかと思います。

ＴＴ

何をもって標準化というかなんですが。いわゆるかつてのチェーンレストランのようにどの店に行っても同じ料理が同じタイミングで出てくる、というようなものは井戸さんも求めていないんだと思います。

ＳＫ

店長によって、全然違いますから。

ＴＴ

だから次にやろうとしていることは、チェーン店を広げようとも思っていなくて、事業を広げようとしているんだと思います。

吉野家にしても旧外食にしても、いいところでも悪いところでもあるのが、人材の流動性はあるんですが、文化は一つですよね。そこをハイブリッドにしていくというか。いい人はどんどん使っていこうよ、みたいなところがあれば、と思います。その点でＤＤは似たところがありますよね。

昔のリクルートみたいに個々の人間がやりたいことをやりたいようにできるような存在として、松村さんがいるのかな、と。最近で言えば、ツイッターアカウントだってどんどんＤＤの方で増えているし、皆さん思うままにつぶやいていますからね。それに対して恐れている感じがないというか。

ＳＫ

今までで言えば、そういうのを抑えてきた企業が強いと言われてきましたが、例えばラムラさんとか、サムカワフードさんとか。ほとんど情報は外に出ないし、取材も受けない。そういう意味では間逆ですよね。

ＴＴ

すごいのは上場企業なのにそれを許しているのかな、と。ＣＳＲとか大丈夫なのかとか、心配しますよね。

ＴＮ

コンプライアンス的にはだいぶギリギリだと思います。

ＴＴ

人材もそうですが、銀行系がたくさん入ってきたのが90年代からで、最近もＩＴ系の方々が増えていますが考え方がとても戦略的・論理的になってきていますね。

ＳＫ

たしかに。

上場企業を主体に扱っている週刊ダイヤモンドを総括すると、外食は上場するとダメになる可能性が高いといえますね。

ＣＴ

以前にこの研究会で外食にとって上場はどういう意味かという議論になったのですが、今後いわゆる出資者の資質が変わってくるかと思うんです。つまり、もっとこれから業界を知っていて、お店のことを愛している人が出資者になっていくのでは、と。

ＳＫ

わたしもそれは思います。

ＣＴ

レインズで露見したのは、金の亡者が回りにいると、総崩れしてしまうというか…。

ＳＫ

ひどかったですからね。

ＣＴ

営業利益率20％とか、金融商品みたいな論理で近づいていくのではなくて、もっと飲食店を愛しているというか、そういう部分で考えてほしいです。

ＴＴ

継続性ですね。(お店を)愛しているというのは言い換えると継続性ですからね。

ＳＫ

わたしは言葉を変えて、顧客主義、お客さんが満足することを最重要に考えていかないと、と思っています。お客さんから利益をもらっているという感覚が愛だと思うんですよ。いかがでしょうか。

ＴＴ

そうですね、3人言葉は違いますが、同じことを言っていると思います。

ＳＫ

上場してしまうと、それを忘れてしまうというか、その論理が成り立たなくなるような気がします。とくにグローバルダイニングなんかはそうです。

ＣＴ

そうですね、以前のダイナミックさがありませんからね。

ＴＴ

でも、たかだか20年ですごく変わってきていますよね。

ＳＫ

結論として、上場したらダメになるというのも寂しいですよね。

上場して伸びて、産業として発展しなければいけないはずなのに、何故外食だけ…。

ＣＴ

それは前回の話でも出ましたが、現在の投資家はグローバルであることを望んでいるからで、国内だけだと市場の閉塞感というか、投資しづらいのではないかと思います。

ＳＫ

日本の人口問題と考えてみれば、先行き細いですからね。

次回は8月中旬にｱｯﾌﾟ予定次回もお楽しみに

第10回 次世代外食研究会⑤

第10回　次世代外食研究会⑤