入院したことによって虚血性腸炎を呼び込みそうな状態が続いている。退院の日から昨夜もお腹の痛みで数時間、トイレの住人。

入院していても別件になると、その受診科でなければ、患者の言葉だけで上手く主治医に状況が伝わらない。今の自分が数か月前に消化器専門の医師から人工肛門も致し方ないと話が出た経緯も、資料を見せて時間を掛けなければ医師でも理解出来ないと思う。

入院後から体調がガタガタと崩れる様にしんどくなっている。が、亭主と娘が上げ膳据え膳で頑張ってサポートしてくれるおかげで、どうにか自宅に居られる。

 

昨年の虚血性腸炎で緊急入院した際、医療費は出してくれたが何もしてくれなかった亭主。母の介護で無理矢理点滴を抜いて退院しても私の正しい病名も知らずにいた程だった。その翌日、自宅で母が転倒し自宅内でも歩行器無しでは移動が出来なくなってしまった。大量下血と痛みの中で転倒してトイレに行けなくなった母を置いて、タクシーでポータブルトイレを買いに閉店間際のホームセンターに駆け込んだりもした。

ポータブルトイレを手に戻って来た時、亭主はシャワーを浴び終え鼻歌を歌っていた。この光景は死んでも忘れないと思う。

精神的にも肉体的にも追い込まれた自分は、もう何の躊躇いも無く思いを亭主と娘に亭主に言い放った。

 

「心霊モノが大好きで自分の部屋に籠ってyoutube見たり楽しんでいるけど、このままじゃ私も長く生きられそうもないし死んだらわざわざyoutubeなんて見なくても、昼夜お前にくっついてライブショーしてやるから楽しみにしてな。殺しはしないよ。ネコもネズミ咥えたら直ぐに殺さず遊びつくすじゃん。今まで養ってくれた分は差し引いても余りあるよなw」

 

本当に言った。死んだら言えないしね。ニヒヒ

その一言以降、亭主は変わったと思う。

「24時間私に出られて仕事が出来なくなったら、youtubeで化けて出る私を配信して金にしたらいい」

とまで言われたら、人間性も変わらない訳にはいかないんだろうな。

荒療治ではあったけど、私に何かあっても『自分以外の誰かを慮ること』を分かってくれたと思う。

これはヨシエ(仮名・亭主の実母)からも「我が息子、そこが欠落している時があるから心配だわ」と言われていたことでもあり、今の亭主ならyoutube配信などしなくても安穏に生きていけるだろう。ニヤニヤ

 

ここで文章を終えたら、私が鬼だと自白しただけになるから、ちょっとだけ補足。

 

娘が生まれ数か月の頃。亭主が原因不明で入院したがいくら検査しても原因が分からなかった。命を繋ぐのは点滴のみで何を食べても亭主は嘔吐し続けた。検査結果を伺いたいと言っても主治医は説明できないから女房の私から逃げ続けた。やせ細る亭主をもう直視出来なくなった私は夕方、病院へ行き主治医との面談を求めた。片手で足りないくらい説明を求めていたが、都合が悪いと反故にされ続けた結果の行動だった。やっと会えた医師は言った。

 

「食後の神経痛ですよ」

 

ねぇよムキー

 

その後も不毛なやり取りをした後、私は看護師に点滴を抜くよう伝え修羅の顔で「おあいそして」と言い、荷物をまとめ病院を出た。

外は日も暮れ雨だった。手を上げタクシーを止め亭主を濡らさないよう後部座席に押し込めたが、行き先など無かった。

ふと思いついた大きな病院の名を告げ、受付終了数分前、何とか診察の申し込みをした。

医師に頭を下げた。何度も泣きそうになって言葉が詰まったが、これまでの経緯を伝え亭主を助けて欲しいと私は言い続けた。医師はその場で入院させてくれ亭主を引き受けてくれた。その後、検査で亭主は成人人間には稀な『横隔膜ヘルニア』と診断され、直ぐに手術を受け回復した。人間の赤子にはある症例らしいが大人は滅多にないそうで、主治医の説明だけでは理解しきれなかった私は、飼っていたネコの主治医をセカンドオピニオンとして相談をしていた。(ネコには多いそうだ)

 

自分がそうしたからと言って、相手にも同じようなことをしろと強要は出来ない。無い気持ちを、あたかもあるように見せかけることもして欲しくはない。でも、あの時のことを忘れて欲しくは無かった。

もしも今の亭主の甲斐甲斐しい姿が私が脅かしたが故の行動なら、そろそろ限界だと思う。