電気料金の概算が来た。
7月に入って狂ったかのように暑かった日があり、私はクーラーをフルで使った。
クーラーだけでは足りず、クーラーと扇風機の合わせ技もやった。
結果……
いつもより5000円程、高かった。
これを高いと思うのか
それとも、5000円で涼を買い、しあわせに過ごせて良かったと笑うのか
私は絶対に後者。
ちなみに、今日は寒い。
扇風機も使ってないわ。
開け放った窓からの冷たい風に耐え切れず、ついには窓を閉めた。
本州の皆さん、頑張って乗り切ってくださいね。
さて、補習を終えた娘は、早速作文やら短歌の創作活動に入っている。
私にできることと言えば、日頃からディペートのように娘と様々なことで話をして、物事には人の数だけの視点があると思うキッカケを持ってもらう……と、思ってたんだが。
話していて、娘……いや、今どきの子どもってなんだか言語能力が著しく低下している気がしてならなかったんだが、その理由がわかった気がした。
『頭が高い』
これってある程度の年齢だったら、何の労苦もなく「ずがたかい」と読めてしまう。
が、娘はこれを平然と「あたまがたかい」と読んだ。(漢検準2級所持)
実はこれ以外にも「朱に交われば…」やら「飛んで火に入る…」と声を掛けても、返事がない。つーか、娘にはこれらの言葉に触れる機会が無かったために、もう、私が何を言っているのか、私が何を娘に求めているのかも分からずにいる。
「本を読め、本をっ!!」
と、言ったものの、しばし思考停止。
そんな時、毒母の部屋から、哀愁あるトランペットソロの音楽をBGMに
「世の顔を見忘れたか?」
との言葉が聴こえて来た。
毒母が“暴れん坊将軍”の再放送を見ていて、それがリビングに漏れ聞こえていたのだ。
「ばあちゃん、何を見ているんだろう?」
娘が真顔で私に問う。
「んなもん、セリフで分かるだろう。あれは暴れん坊将軍の決めセリフじゃん。」
「へぇ~、そうなんだ」
18歳の娘が“暴れん坊将軍”のあの決めセリフを知らないことに、私は衝撃を受けた。
勉強の手を止めさせ、私は“水戸黄門”や“遠山の金さん”など、立て続けてセリフを言ったが、娘にはもう全く異国の言葉となっていた。
私は1963年生まれ。
自分が育った環境を語る時、テレビで繰り返された時代劇を語らずにはいられない。
学校から戻って(私は登校拒否が多かったから、余計に再放送を見られた)水戸黄門は当たり前になっていた。親や年寄りが見ていて、今も時代のように他の部屋にもテレビなんてなかった訳だし、必然的に子どもであっても、興味がなくとも水戸黄門を見る事となる。
私時代なら、更に“大岡越前”や“伝七捕り物帳”、“子連れ狼”に“大江戸捜査網”なんて、キリがない程、時代劇を見続けた。
結果、それを見ていた子どもらは、学んだわけでもないのに、一通りの格言やら言葉を覚えた。しかし、娘の年代では、誰かが“暴れん坊将軍”を見ているリビングに無理している必要はなく、自室に籠るか、その場で将軍様をシャットアウトしてスマホを操作し始める。
もう、上様がどれだけためになる言葉を言っても、娘の耳に届くことはない。
将軍様と悪代官のベタなやり取りも知らない娘に、「頭が高い」と言っても、読めるはずもないのだ。(蛇足だが、“黒子のバスケ”では、赤司が試合中に「頭が高い!」と敵を威嚇するシーンがあって、赤司はきっと水戸黄門も暴れん坊将軍もちゃんとみてたんだと胸アツだった)
アニメでは擬音ばかりが目に、耳につく。
擬音で自分の気持ちを語れやしないだろうし、相手のことを慮ることも出来ないだろうにと思ってしまう私。(が、擬音を悪いと断罪する気はない。私自身、子供の頃に“バロム1”という特撮番組で擬音の奥深さを学んだのだから)
そんな訳で、今日は暴れん坊将軍の上様から、日本語の深き趣を学びましょう。
【上様いつものラインナップ】
A 「上様がこのような所に来られるはずがない」
B 「上様の名を騙る不届き者だ」
C 「上様でも構わぬ」
D 「上様、お手向かい致しますぞ」
E 「上様、お命頂戴致します」
F 「ここで死ねばただの徳田新之助」
G 「悪党らしく死に花を咲かせてくれるわ」
H 「飛んで火に入る夏の虫」I 「我ら幕臣あっての上様ではないか」
J 「八代将軍もこれで終わりぞ」
K 「もはやこれまで」
L 「笑止千万」
M 「吉宗の首を我が殿、宗春公に差し出せ」
N 「上様の顔を忘れた」
O 「もはや上様の命に従う必要はない」
P 「腹を切るのは拙者ではなく、上様である」
Q 「どうせ上様には死んで頂くつもりでした 覚悟なされ」
R 「御役御免で一度は死んだ身」
S 「そこまでばれているのなら、毒を食うは皿まで」
T 「何をほざくか吉宗。良い所に現れたものよ」
Z その他
B 「上様の名を騙る不届き者だ」
C 「上様でも構わぬ」
D 「上様、お手向かい致しますぞ」
E 「上様、お命頂戴致します」
F 「ここで死ねばただの徳田新之助」
G 「悪党らしく死に花を咲かせてくれるわ」
H 「飛んで火に入る夏の虫」I 「我ら幕臣あっての上様ではないか」
J 「八代将軍もこれで終わりぞ」
K 「もはやこれまで」
L 「笑止千万」
M 「吉宗の首を我が殿、宗春公に差し出せ」
N 「上様の顔を忘れた」
O 「もはや上様の命に従う必要はない」
P 「腹を切るのは拙者ではなく、上様である」
Q 「どうせ上様には死んで頂くつもりでした 覚悟なされ」
R 「御役御免で一度は死んだ身」
S 「そこまでばれているのなら、毒を食うは皿まで」
T 「何をほざくか吉宗。良い所に現れたものよ」
Z その他
最後に豆知識を。
水戸黄門で「このお方をどなたと心得る!畏れ多くも天下の副将軍、水戸光圀公であらせられるぞっ!!」と、いう定番のセリフがあるが、『副将軍』なんて身分ない。
小学生の遠足グループじゃあるまいし、「副班長」のような「副将軍」なんて役職はない。
もう、ず~っと気になって仕方ない。
あ、付録。悪役トップ10も。
1位 勘定奉行
2位 大身旗本
3位 勘定吟味役
4位 長崎奉行
5位 寺社奉行
6位 関東郡代
7位 藩江戸家老
8位 若年寄
9位 代官
10位 火付盗賊改役長官
2位 大身旗本
3位 勘定吟味役
4位 長崎奉行
5位 寺社奉行
6位 関東郡代
7位 藩江戸家老
8位 若年寄
9位 代官
10位 火付盗賊改役長官
1位なんて娘は絶対に「これ、会計ソフトでしょ!」って言うわ。