昨年、右足踝を骨折してギプス固定してもらったものの、娘の通院があって(バス・地下鉄・市電乗り継いで片道1時間以上かかる)、それも待ったなしだったから、自分のギプスを壊して我慢しているうちに治してしまった。
と、自分だけが思っていたらしい。
痛みは延々と続いていて、この間に娘が通院している病院に改めてかかったけれど、痛いと訴え検査しても「異常ないですね」で済まされ、まだ痛いと訴えているにもかかわらず「痛かったらまた予約して来てくださいね」と、強制終了させられていた。
前にもそんな医者がいたけど、あれって不思議だ。
患者が「痛い」と言ってるにもかかわらず「痛くないでしょ?どこも悪くないですから」と、MRIやレントゲン画像と電子カルテだけを熱心に見て、患者の顔すらみないんだな。
今回も同じようなタイプの医者にあたってしまった訳で……
大病院の著名な先生様だそうだが、私にとっては。
で、昨日、時期も過ぎて枯れかけていたピーマンの苗を投げ売りしているのを見て、思わず買って家庭菜園に植えていたら、踝に激痛が走ってもう僅かにも身体を動かすことができなくなった。スマホは少し離れた車の中に入れたまま。ピーマンの苗を手にしたまま、炎天下の中、汗がマーライオンの様に流れ滴る。15分程してやっと僅かだけど動けるようになって、慌てて苗を植えて(苗は大切だ)自宅に戻ったが、炎天下に晒され日光皮膚炎が一気に
肌が出ていた部分がとんでもないことになった。
死にかけたピーマンを助けようと、自分が死にかけてるんだから……
ギプス着けてくれた整形の先生の所へ行った。
もう、ジャンピング土下座する覚悟で行った。
この先生しか的確に病名を探し当ててくれないから。
とにかく腕は最高だ。人柄もいいし、申し分はない。
敢えて言えば、ストーカー騒動で引っ越ししてしまったおかけで、冬は通院不可能となってしまったことだけが残念だ。雪がない限りは、何度か足を骨折しても、自分でチャリを漕いで通い続けた。
あぁ、話が本題に近づかないなぁ。
で、その先生は私の謝罪を受けてくれて、更には「大変でしたね」と労ってくれた。
最近、娘とチワワ奥からしか、優しい声掛けなどされてないから、泣きそうになるくらい嬉しかった。ただ、ギプスを自分でむしり取ったとの言葉に、かなり動揺はしていたのを、私は見逃さなかったが。
結果は踝部分、二か所が炎症を起こしていた。腫れや痛みの原因はこの部分だと、先生はMRI画像の不自然に真っ白くなってる所を指さし教えてくれた。
膝と踝に注射を打たれた。
膝は相変わらず、全く痛みが無くて、いつ針を刺したのかもわからない程だった。
初めての踝も「ちょっとチクッとしますよ」と言われたものの、我が家のネコ、マツコに踏まれた方が801倍痛いレベル。要は思っていた以上に痛くなかった。
リハビリと注射にしばし通院することになったが、この先生、腕が良すぎて病院が開く1時間前には既に患者が並んでいる。洗濯やら家事を終えて出かけ、9時前に着いても、全てを終えて帰宅するのは14時を過ぎる。
でも、発展途上国で医者に診ても貰えない人たちのことを思えば、受付で4時間待ちの表示板を見ても、腹も立たない。日本の医療制度は本当に有難いと思った。
帰りにチャリで高齢ご夫婦がこじんまりとやっている八百屋さんに立ち寄った。
大きなスーパーで買い物をする元気も気力も使い果たし、露店であれこれ選ぶのが精いっぱいだったから。
今日明日は動くのがしんどいからと、取りあえず気軽に食べられるバナナを買おうとした。
バナナを見つけ、手を伸ばしたが寸でで止まった。
さっちゃんは小さくてバナナを半分しか食べられなかったそうだが、私はひと房でもいける。
が、手は止まる。なんなんだ、この違和感は。
「おばちゃん、これ……?」
「あぁ、ドールのシールが無くて彫った。ほら、今はブランドに拘るお客さんも多いから」
いや、彫ってもつーか、彫ったら意味ないじゃん
更に目が釘付けになる。
「私が店にいない時に、ありがとうって言えないと困るから」
いや、黙って持ってく奴がいれば、それって泥棒だし。必ず挨拶はすんだろう
でも、善意のおばちゃんに指摘はできない。
でも、こうして手間をかけたにも関わらず、手間をかけたバナナだけが一昨日から売れ残っていると、悲しそうな顔をした。
結局、私はおばちゃんの心のこもった手彫りのバナナ全てを買って来た。
暫くは足を休めながら、毒母と呪いのビデオを見ながらバナナを貪ることになる。