2年ぶりのV6コンサート、札幌追加当籤したぜ!!

昨夜、テレ東の音楽番組で久々にグループで唄う薫の中の人を見た。

SPの頃の神がかり的美しさ。今は、大人の余裕を感じさせていた。やっとコンサートに当籤したのだと実感してきた。最近、殺伐としている中で過ごしていたけれど、じわじわと気分が高揚してきた。

 

札幌のコンサート会場は他よりは小さめ。でも、行ったことのあるファンなら嬉しいと思う。彼はその場で動かず唄う訳ではなく、会場を駆け抜け動き回るので、手狭な札幌だと、どこにいても彼らを目の前で見て感じることが出来るから。二階席なんてある意味『神席』だと思う。一般販売でローソンで買ったチケットが二階席だったけど、目の前の床から岡田君が湧いてきた時、思わず鼻血を出したのはいい思い出だ。デレデレ鼻の粘膜やら毛細血管で良かった。よく頭の血管が切れなかったと今は思う。

 

 

さて、更新しなかったこの間。
一番の出来事はやはり冷蔵庫購入事件だった。

毒母の使う冷蔵庫は実は25年使っていて、「小さい、手狭、訳の分からない水が漏れる」の嫌な三拍子を常に奏でていた。小さい、狭いは我慢の範疇だが、出所不明の大量の水漏れは、本当にしんどかった。

冷蔵庫の下にかなりの水が溜まる。気付いた頃は週に一度、冷蔵庫の大きな引き出しを取り外して中を拭き取れば、どうにかなっていたが、その水拭きも気付けば一日一回しないと、とんでもない事態になった。でも、専業主婦だし、これくらいの作業は亭主の仕事を考えると屁でもないから、朝5時に起きて半分眠ったまま専用ふきんを手に(タオル3枚)拭き取り続けた。これで十数万する冷蔵庫を買わないのなら素晴らしいとさえ思っていた。が……

イギリスの高層マンション火災の原因が冷蔵庫からの出火が濃厚と知り、私の気持ちは揺らぎ始めた。「あらぬ水が出る」と言うことは、「あらぬ火も出る可能性があるのかも」と思い始めたのだ。私が迷い始める中、亭主はもう買う気満々だった。あまり気乗りしない私を連れ、亭主は家電店巡りを開始した。

いやぁ~、冷蔵庫って買うことを前提に見ると夢も希望も湧いて来るんだと、初めて知った。我が家の、もはや製造メーカーも無くなった250Lの冷蔵庫とは違い、主流は500Lクラスであり、店員さんは冷蔵庫を買いたくなるような秘孔を絶え間なく突いて来る。私も亭主も気付けば500Lより上の冷蔵庫の前を行ったり来たりしていた。で、私たち夫婦はボーナスの何分の一かを500Lを越える冷蔵庫購入費用に充てることにした。180センチを超える観音開きの冷蔵庫は大きな鍋もそのまま入るサイズ。支払いを済ませ配達日時を指定して私たちは家電店を後にした。帰り道、給料前で財布が寂しかったが、冷蔵庫の中にあれもこれも入れようと、亭主と話は盛り上がった。しかし、トラブルはすでに、私たちの知らぬ所で始まっていた。


冷蔵庫搬入の日。亭主は心なしか楽しそうな軽やかなステップで会社に行った。「帰ってきたら冷蔵庫があるんだよね?氷もどんどん出来るんだよね?」
帰宅したら冷蔵庫に入って寝かねない雰囲気だった。
そして朝イチで、家電店の搬送のお兄さん二人がやって来た。

「よろしくお願いします」
私は満面の笑みを浮かべ扉を開けたが、扉の向こうにいたお兄さんは浮かない顔をしながら挨拶もそこそこに周囲をキョロキョロしている。
「よろしくおねが……」
お兄さんはメジャーを取り出すと、私に挨拶の言葉は返してくれたが、心は私にはまったく向いてはいなかった。
「よろ……
三度目の「よろしくお願いします」を言いかけた私の言葉を、お兄さんは能面のような表情で惨い一言で遮る。
「あ~っ、この扉も玄関も狭いですね。冷蔵庫、入りません」
「よ……?」
四度目の「よろしくお願いします」が自分の意志とは関係なく壊れた心から出てきた。
「入らない?」
「はい、入りません。絶対に」
言いたいことも言えないこんな世の中 ポイズンと反町は唄っていたが、言いたいことを言われたら現実は辛いものだと心底思った。
「いや、今回買った冷蔵庫よりも背が高くて幅のある本棚も入ったんですよ」
「入りません」
「ウチの上はアップライトピアノを……」
「入りません」
思いつくまま言葉を出すが、お兄さんの返事はぶれることはなかった。
配達さんが「できない」と言う以上、こちらとしてはもう何も言えない。私も面倒になったので「わかりました。じゃ」とお引き取り願う体制に入った。
不思議なもので「入らない」を連呼したお兄さんは、私がアッサリ諦めた様を見て、今度はクドクドと説明を始めた。
「この扉に設置してある郵便ポストを取り外せば〇〇センチ余裕ができます。でも、これだけではダメです。高さも180センチを超えるものは無理です。う~ん、178センチが限界かな」
お兄さんは丁寧に説明をしてくれた。
また、家電店に行って選び直すことで話は纏まり、お兄さんは帰って行った。窓から覗く先には、焦がれて買ったあの冷蔵庫があった。最近、毒母の事でも泣くことはなかったと言うのに、出戻る冷蔵庫を見ていたら、涙が出てきた。
何も知らない亭主がラインを送って来たが、説明も面倒なので私はスタンプだけを送った。

 

結婚して20年を越えると、スタンプを見ただけで妻の精神状態が把握できるらしい。

いや、己に飛び火しては居場所が無いと悟ったのかも知れない。

この二つのスタンプを見た亭主は、残業を止めてすぐに帰宅した。

 

帰宅しておもらし状態の古い冷蔵庫を見て言葉を飲み込む亭主。私はお兄さんの説明をそのまま形態模写を交えて亭主に伝えた。亭主は1分で着替えると、すぐにあの家電店へ私をのせて車を走らせた。

 

我が家が買える大きさが店員さんに伝わっていて、私たちはその範囲内で新たな冷蔵庫探しを始めた。しかし、店を何軒も回り、悩んで悩んで決めたあの冷蔵庫への未練は立ちがたく、夢の500Lを候補から外す事実も心を暗くしていた。

お兄さんが指摘した「玄関扉の郵便ポストを外せば」の条件を飲まなければ400L以下の選択肢も出て来る。私たちは郵便ポストを外すことを前提にやっと新たな冷蔵庫を選んだ。先に買った物より許容量が小さいのに、値段は更に1万高くなった。私は心の中であと3本、大根をたたき割った。

 

 

で、冷蔵庫が到着する前日、私はお兄さんから聞いていた玄関ポストの撤去方法を思い出しながら挑戦した。が……古いマンションの玄関扉に設置されたポストは頑固寿司のオヤジよりも頑固になっていて、何をどうやっても外れなかった。

冷蔵庫を買って自宅に搬入することが、こんなにも難しいことだとは想像もしてはいなかった。微動だにしないポストを前に私は完全に心が折れた。

 

帰宅した亭主は玄関先で2時間近く格闘した。実はここまでの話よりも、亭主VS扉のポスト対決の話の方が断然盛り上がりそうだが、ここは割愛する。

 

かなりの労力と時間、金を掛けて我が家に冷蔵庫様がやって来た。給料前だったから、本当に焼き肉のたれとポットボトル飲料しか中には入ってなかったけれど、我が家の中で一番、輝いていて氷も勝手にザクザクできる。(給料が出ても相変わらず焼き肉のたれとポットボトルばかりなのだがチーン

 

 

で、数日前のこと。

マンション住人の話し合いがあり、同じフロアーのお宅へ邪魔した。同じマンションで何から何まで全てが同じである。

「お邪魔します」

そのお宅に入って私は絶句した。

我が家が諦めたよりも若干大き目の冷蔵庫が、キッチンに鎮座していたのだ。

「これ……これ、これ」

「うん、買ったのよ。去年」

奥さんは笑っていた。

玄関からポストも外さず、その冷蔵庫はちゃんと自宅内に入ったそうだ。

その後、マンションで行う工事についての大切な話し合いが持たれたが、正直、その内容の殆どを私は覚えてはいない。

 

「入らない」「入らない」「入らない」ってお前は、排卵日(入らん日)だったのかよっ!!

と、あのお兄さんに再び会えたのなら私は言いたい。

 

後に調べたら「冷蔵庫を買ったが家に入らず、配達さんが持ち帰った」事例が山のように出てきた。500L以上の冷蔵庫は戸建ての住人が買う品であり、マンションやアパートでは500L以下が間違いないらしい。

 

 

例えば……

命かけたいくらい好きな男(女)がいて、絶対にこの人と結婚すると思っていても、色々とあってそれが叶わず、後に想像もしていなかった人と結婚していたなんてことがある。

亭主は一番の人と縁がなく二番目の私と結婚した。私も一番目に逃げられ〇番目の亭主と結婚した。だったら、冷蔵庫だって一番じゃなくてもいいかって、ザクザクできる氷を頬張りながら私は思えるようになった。