3月に福岡に行ってから、すっかり福岡大好きおばさんになった。

今も太宰府の本を読み漁っている最中。

でも、何よりも私の心をわし掴みしたのは、

梅ヶ枝餅!!

太宰府駅から天満宮までの道のりで5個は食べたと思う。

で、10個のみやげ用を買って、宿に戻ってからも貪り続けた。(小豆は十勝産だったが)

その後、福岡の地下のみやげ売り場にも梅ヶ枝餅を売っていて、翌日も買って食べた。とにかく泣きたくなるくらい美味かった。

 

 

札幌に戻って私は『梅ヶ枝餅ロス』に陥った。手あたり次第に、アンコのものを食べたが、あの独特な梅ヶ枝餅とは違い、落胆し続けた。(でも、残さず食った真顔

梅ヶ枝餅との出会いと別れから半月ほどしたある夜。

デパートで九州物産展をしていたと、亭主が梅ヶ枝餅を買って来た。

あぁ、間違いない。あの梅ヶ枝餅だ。

 

あんは品の良い甘さで、餅も厚すぎず薄すぎず口になじむ。10個入りの梅ヶ枝餅は10分ほどでテーブルから消えた。

 

物産展の殆どは一日では終わらない。

翌朝、玄関先で靴を履いていた亭主に「今日も10個な」と耳打ちすると、亭主は黙って頷いた。その夜も亭主は梅ヶ枝餅を10個買って来た。ところが……

この物産展、気付くのが遅かった。明日で終わりなのだと亭主は少し安堵の混じった表情で、今日の分の梅ヶ枝餅を差し出しながら言った。

結局、札幌に戻って物産展で三度、梅ヶ枝餅を買ってもらい私は食欲を満たした。

上の梅ヶ枝餅の紙は福岡の分も含めてかなり溜まった。私の宝物。デレデレ

 

 

一昨日夜のこと。

食後、何かおやつを食べたいと亭主が騒ぐ。

「どんぶり二杯、しっかり飯を喰えばこんな時間に腹は減らない」

と私は相撲部屋の親方のように言ったが、内心私も小腹が空いていた。

翌日。早くも給料前モードの我が家。自宅にある食材を漁り、サーターアンダギー(パイナップル入り)を大量に作った。実はこのサーターアンダギー、我が家では作るのは亭主の役目であり(単に私が面倒で作らないだけチーン)形が不格好だの、火加減が足りないだのと2時間近く私はコンロの前で格闘して作り上げた。

で、亭主帰宅。

「今夜、おやつ大量に作ったから、人間の限界値まで食っていいぞ」

と、微笑む妻に亭主の顔は俄かに曇る。

スーツの懐から取り出したのは、梅ヶ枝餅だった。

私は自分で作ったサーターアンダギーを置き去りにして、梅ヶ枝餅さまをお迎えした。梅ヶ枝餅さまはまだ、温もりを秘めていた。あぁ、温かい、温かい、亭主よりも温かい。反対に亭主はサーターアンダギーを作った妻に驚いていたようだった。こんな些細なことでも「よく頑張ったね」と、必死に褒めて伸ばそうとしていた。でも、50過ぎて褒められても、既に伸びしろなんてもんはない。滝汗

 

 

「あのね、梅ヶ枝餅を売っているおばさんがね。私がお金を払った時に『いつもありがとうございます』って言ったんだ」

亭主は複雑な表情で言った。

「だってお客さんでしょ、あんたは。だったら、おかしくないじゃん、その言葉は」

「でもね、私以外の客には『ありがとうございます』って言ってるんだ、みんな。私にだけ『いつも』って言葉が」

行列ができる梅ヶ枝餅屋さんのおばさんがなぜ、水木しげるの作品に必ず登場するその他大勢の、眼鏡の中年男のような特徴のない亭主に「いつも」の言葉を使ったのかを私たちは検証した。で、わかったことは……

 

 

亭主は自宅用に10個買うとき、それとは別にすぐに食べるための1個、合わせて11個を買っていたそうだ。自宅用が15個なら+1の16個を買い、歩きながら焼きたてのそれを美味そうに頬張りながら物産展を後にしていたそうだ。

北の大地で毎日、閉店直前にスーツ姿の男が梅ヶ枝餅を買う行列に並び、その際には必ず1個は手にもって頬張りながら帰っていく……

某デパートでの物産展が終わり、約一か月後地方を回りまた札幌へ戻って来て、違うデパートだったにもかかわらず、この水木しげるの陰キャラ君はまた梅ヶ枝餅の行列に並んでいた。寧ろ店のおばちゃんの方が恐怖を感じたのではないだろうか。

このおばちゃんがもしも、ひょんなことから杉下右京警部と顔見知りになっていたならば、きっと「う~ん、それは解せませんね」と、職場や通勤ルートにまで確認に来ていたかも知れないと思うと背筋がモゾモゾとした。これが科捜研の女だったら「取りあえず鑑定してみましょう」って亭主に張り付き、たばこの吸い殻やら抜け毛まで採取されていたのか。太陽にほえろ!だと、問答無用で松田優作が全速力で追いかけてくるだろうし、西部警察に至っては大門団長が一方的にショットガンをぶっ放してくるに違いない思うと、梅ヶ枝餅の買い方も考えた方がいいのかと、深く深く思った。

 

で、売り場横には……(撮影:亭主)

 

あ、覚えてますか、この牛さん。

実は太宰府で『出張中』だった牛さんでした。

上矢印3月下旬、太宰府にて撮影。

 

先週の急性腸炎は今も余韻を残したまま過ごしている。

昨日まで直立歩行できなかった。半端ねぇなぁ、急性腸炎!!

今日、やっと朝7時からせんたく回もして、布団干してアイロンがけしてと久々の主婦活動。ニヒヒ天気と健康の有難さが身に滲みた。