食事も済んでテレビのチャンネルを変えながらあちこち見ていたら
「モフモフ モフモフ」
と、何だかくすぐったいような声が……
画面には猫やらウサギたち。
この声ってまさか!?まさか!!
番組表を見たら
語り:堤真一
と、表記が
いい歳して「モフモフ」じゃねぇだろう。
今夜、確実に眠れねぇじゃなえか、コラッ!!
しかし、NHKって何でもありなんだね。
まさに『堤真一の無駄遣い』のような気もするけど、しばし彼の「モフモフ」と言う言葉を聞いて、心を浄化した。
しかし、30分ぐらいの番組で2ちゃんの実況が軽く1000を超すなんて、みんなモフモフに飢えていたのか。
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と、を書いたのが3月31日。
痴呆症の親を抱えると、こんなにも思うようにことが進まないと実感。
近所で多少のお付き合いのあった方が突然、亡くなられたのだが、その報を聞いた毒母が
「あの家で去年、亡くなった旦那さんが電動のこぎりを買っていた。
旦那さんが死んで奥さんは使えないし、もったいないから私が貰ってあげよう」
と、言いだしマジでお悔やみも言ってない、香典も渡していない家へ特攻しようとする毒母を必死で止めた。
よく2ちゃんねるで馬鹿が場の空気も読まず「私が貰ってあげる」って、強奪状態のことを起こす者がいると読んでいて「いくらなんでもこんな奴はいねぇよ」って鼻で笑っていたが、いや、実在していたわ。それも目の前に……
その亡くなられたお宅のご主人は叙勲対象者として皇居まで行った方でもあり、知人や関係者も多かったが、残された奥さんの健康上の問題もあって町内会にも内緒で密葬。
なのに、そんなお宅に「アンタの家の物を、貰ってあげる」なんて行くのは、もう痴呆であっても遺族感情を考えれば、村八分にされても仕方ないレベル。
もう、言葉を変えながら必死で止める。しかし、毒母は
「年寄りのあの奥さんが電動のこぎりを持っていても使えないじゃない」
と、譲らない。つーか、アンタも80歳で十分過ぎるくらい年寄りだし、突然理由なく怒りだし、のこぎり持ち出して家財道具を破壊するアンタに電動のこぎり渡すって、オカルト映画じゃあるまいし……
他人と揉める元になる、悪い方のアクティブさを押さえる精神に作用する薬を服用させているが、これも万能ではない。本人に知られぬように近隣には、痴呆症のことを話して理解を得るようにしてはいるが、亡くなられた直後にハイエナのようなことをされては、痴呆であっても遺族は許せないだろう。
「貰いに行く」「いや、それは無理」「私は親切で言ってんのよ」「それ、親切じゃねぇし」こんなやり取りが延々と続き、私の頭皮からはまた毛が抜けた。(すぐ抜けるものなのね)
考えた末に「ねぇ、明日、三人で(毒母・私・娘)列車でどこかに行ってみない?」と言うと、毒母は「どこ?どこに行くの!?」と電動のこぎりがすぐさま脳裏から消えたようだった。
深く考えずに言った言葉にここまで反応されて、今更「うそぴょーん」なんて言えば、自宅にあるのこぎりで何かされそうだ。それから、娘と時刻表片手に急いで旅の計画を立てることとなった。
最近娘は鉄道にハマっている。時刻表も買って地下鉄やバスに乗るときにもJR時刻表を持参している。娘も毒母も各駅停車の旅を所望している。
「朝出て、夕日が沈まないうちに帰宅出来たらいいな」と条件を伝え結果、決まったのは
札幌→滝川→富良野→(富良野線利用で)旭川→滝川→岩見沢→札幌のオール各駅停車の旅だった。朝7時ぐらいのJRに乗るために吐く息のまだ白い6時半に家を出て、てくてく歩く。家を出て2分で毒母は足が痛いと文句を言う。しかし、ここで帰れば毒母は間違いなく、電動のこぎりを貰いに行くだろう。半分くらい会話が成立しないまま、私は毒母と歩調を合わせて歩いた。
旅は計画を立てている時が一番、楽しい
って、私が思い付きで作った言葉だけど、これこの日は数えきれないくらいに実感することとなった。
この話、たぶんつづ…かない。