退院してからずっと不調で、横になっている方が多くなってしまった。

今、判明したのは糖尿病だけで、この糖尿病も引き起こしているラスボスがいるであろうと医師はみている。この半年だけでも、様々な病院でどれだけ採血して検査しても出なかった糖尿病が、今回、入院してじっくり検査したおかげで判明したのは有難いと勝手に思っている。

身体のどこかに異常をきたして食欲始めとして自律神経やら何やらをすべて誤作動させているってところまでは推察できているそうだけど。我が家にとってはかなりの出費となった入院費を支払い、家に戻ったけれど敵が見えないことがしんどい。

そんな中……あの暴論。長谷川豊の9月19日付の公式ブログに「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」というタイトルの記事。

 

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「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」と題したブログを投稿し炎上。

ある「人工透析」を担当しているお医者さん〉から聞いた〈8~9割ほどの患者さんの場合「自業自得」の食生活と生活習慣が原因〉という話を綴り、〈透析患者には一人年間500万円かかります。日本人の平均年収以上ですね。必死に払ってる保険料、そうやって食いつぶされ続けているのです〉と主張。その現状をイソップ童話になぞらえ、「自業自得なキリギリスが、健康に気を遣って生活しているアリの納めた保険料で生きている」といった論旨を展開。「キリギリスは餓死しなければいけない」「日本の病魔の1つが『保険』であることは確か」など、タイトル通り辛らつな言葉で締めくくられています。20日のブログでは「自堕落な生活で人工透析患者になったハナクソ同然のバカ患者」とまで言い放っている。これに「怒りで手が震えている」「ヘイトクライム思想」とネットで非難が殺到。その後、タイトルなどを修正したが、多くの批判が集中し、全国腎臓病協議会からも抗議文が送られていた。しかし、長谷川さんはその後もブログ等で同様の主張を繰り返し、批判するネットユーザーを「頭スカスカのコメントも届いています」などと挑発。【以上、今回の騒動、neverまとめより引用】

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入院中、隣のベッドの年配の患者さんが透析患者だった。この件を知ってとても辛そうだった。ある夜、ぽつりぽつりと胸の内を明かした。

「苦しい時代に結婚して子供を授かって、夫婦で必死に働いて働いて。でも、わが子にだけは辛い思いをさせたくなくて、自分が食べなくても子供を飢えさせるなんて絶対にしなかったよ。子供たちがみんな結婚して、今、やっと人並みな暮らしもと思った時に透析になっちゃったんだよね。自堕落な生活なんてしたつもりはないよ。お父さんも私も酒も煙草もしないし、むしろ生活が苦しくて食べられない時があったぐらいだし。そんな貧しい自分たちが身の丈も弁えずに結婚して子供なんて産んだのが、この人(長谷川)から見れば、自堕落なのかもね。」

この言葉を隣で聞いて、胸が痛いなんて通り越して、胃が痛くなった。

 

暴飲暴食や自堕落のボーダーラインってどこ?誰が決めるの?主観なしで厳密に線引き出来るのか?

冷暖房の利く9時5時のデスクワークをして、家族が安心できる収入もある人から見れば、ウチの亭主みたいに11月にやっと夏休みが取れたり、朝6時に家を出て深夜2時半に帰宅してやっと晩御飯食べていたら会社から電話が来て、ご飯放り出してまた仕事に行くってのも、規則正しい生活のできない自堕落になるのかもね。

 

 

金が掛かるから殺せって、まっとうな人間の言葉じゃない。仮にそんな話をするにしても、それは家庭内など限られた場所で限られた人間同士で、絶対に外部に漏らさないことを前提に話をすべきであって、ブログで公に高らかに宣言する文言じゃないだろうが。

隣人はさらに続けて言った。この国で透析患者が多いのは、アメリカのように腎移植をしないことも大きな一因であると。アメリカぐらいに腎移植をすれば、透析患者の数はかなり激減するのではないかとも。透析のことを知らなかった自分は、隣人の話はまさに「目から鱗」だった。

 

言論の自由ってのは大切だろうけど、それは、イコールとして特定の人間を傷つける自由をも認めている訳では断じてない。この発言を『言論の自由』で済ませようとしている者の気持ちも私にはまったく理解できない。

私自身、20代前半であと3か月に迫っていた結婚式が、毒父のしょうもない女性関係と私の腎臓病(当時)を理由に破談にされている。

「だってアンタ、いつ死ぬかわからないでしょう?」

相手の母親からダイレクトに投げつけられた言葉は今も全身に刺さったままだ。

 

 

健康で仕事もガンガンできることを、当たり前に思っているから言える言葉だったんだろうな。自分や女房子供が思いもよらぬ病気をして入院した場合、自分がではなく家族が何を言われるか、どんなことをされるかなど考えることもないんだろう。私がこの男の女房ならば、自分やわが子が病気しても、もう国内どこの病院にも行けない。恐ろしくて、怒っている患者や家族に何をされるかと想像しただけで震えが来る。万が一、入院でもした時、点滴に何か混入されそうだ。

 

現行の社会保障システムに問題提起するのは、それこそ言論の自由だろうけれど、特定の者を名指しで『殺せ』と言えるのは、自分が知名度も収入も健康も人並みよりも上だと思っているからの驕りなんだろうね。

この人、自分はレギュラー番組8本も抱えていて、フジのアナウンサー時代よりも収入がいいと豪語していたが、今はレギュラーがゼロになってしまった。税金って前年度の収入で支払うんだけれど、どうするんだろうと他人事ながら思ってしまう。透析患者は金を使うから生きていたらいけないんでしょう?金がない、金が掛かるって視点でこの人の様に語るのであれば、次年度、この人が納税出来なかったら「税金を払えないなら殺せ」って理論もありだと突っ込まれそうな予感もする。

 

 

架空の話

『世にも奇妙な物語』ならば、ラスト、自分が病で寝込んでいると我が子がやってきて、「生きていたらお金掛かるね。もったいないね、医療費。」と言いながら、パンダチーズのCMのように点滴を引き抜くのかな。

 

私は延命治療の拒否もしてるし、今回入院前に通夜・葬儀をすっ飛ばして火葬場直送の申し込みも終えた。骨は市の合同納骨。亭主はヨシエ宅の長男なのであちらの墓に入れて欲しいと交渉済。正直、亭主と同じ墓に入るって無理。絶対に無理。飛行機の「早割」ってのは使ったことがあるけれど、葬儀の「早割」は初めてだわ。

 

 

で、結論。

長谷川よ。お前になんぞ寿命を決められたくなんかない。