学校から帰宅した娘が慌てて「クレヨンしんちゃん」の録画予約をしていた。娘が生まれる前から(娘もうすぐ16歳)放映していたが、チャンネル切り替えを忘れた以外、自発的に観た記憶は殆どない番組。「おそ松さん」からアニメ&声優さんファンになった娘が「神谷さんが出るんだよっ!」とニコニコしている。

娘の言う「神谷さん」とは「神谷浩史」(敬称略)であり、私がひらめくのは「神谷明」だ。彼の代表作はたくさんあるけれど、私にとっての「神谷明」といえば「宇宙戦艦ヤマト」の「加藤三郎」と「加藤四郎」となる。(ヤマトでは神谷さん、三郎と四郎を演じ分けていたのが泣けた)娘の言う「神谷さん」がリヴァイ兵長であり、チョロ松であり、黒子の赤石だというのも私は最近知った。気付けば自宅に「声優グランプリ」を始めアニメや声優さん特集の雑誌が積んであった。

先日、娘と帰宅する際に、自分が娘と同じ年齢の頃の声優事情を話した。声優フェスティバル「Voice Voice Voice」ってのが日劇で行われて、行けなかったお母さんたち地方ファンはそれを録音したLPレコードを擦り切れるくらいに聴いて、今もそのセリフや歌を歌えると、訳のわからない自慢をした。娘は取りあえずの返事をしてくれた。(苦笑)

さて、ここからが本文。以下、娘がクレしんのぶりぶりざえもんを見終えてから呟いたこと。

「前の声優さんが事故で亡くなって、ぶりぶりざえもんはずっと声優さんなしだったけれど、今回、神谷さんが声で新たな命を吹きこんでくれた。ネットではぶりぶりざえもんの声を神谷さんがやることに抵抗のあるという人もたくさんいるけれど、その声の殆どが“大きなお友達”なんだよね。でも、クレしんって幼稚園くらいの子供を対象にした番組で、神谷さんの良し悪しを大人が語って決めるのはおかしいと思う。クレしんを観る子供が笑って楽しめるのなら、ぶりぶりざえもんが新しい声で復活したことを喜んだらいいのに。自分はぶりぶりざえもんの魅力や楽しさを知っているけど、今の子供には、声優さんが死んだから声なしで我慢しろって?それを認めろって?私は何だか釈然としないな。」

私はこの「ぶりぶりざえもん」について何も知らなかったので、娘の話を聴きながらぐぐってみた。あ、マ・クベだったんだ……

例えば……居酒屋など「大人の場所」に子供がいることを私は黙認できない。大人には大人しかいられない居場所がある訳で、そこに安易な事情で子供を存在させてはいけないと私は思う。深夜、酒で羽目を外した大人の醜態を、たばこの煙漂う場所で子供に見せ共存してはならないのだと。同様に、子供の居場所も確かにあって、大人が自分の好みを押し付けたりして土足でズカズカと立ち入ってはならないはず。双方に不可侵的ポジションがあって然るべきと。

大人の都合?原作者の意向?一体、どの層に向けて何のために作っているのか。私は娘と共に神谷浩史を楽しみたい。しかし、娘とまさか声優談義が出来る日が来るとは思ってもいなかったわ。(笑)