元恋人の結婚喜べる? ブログネタ:元恋人の結婚喜べる?

朝から「おそ松さん」グッツを集めに亭主と娘と三人でセブンイレブンに行った。もう、無いかもと思っていたが、ラッキーなことに全部、揃えることが出来た。(朝8時ぐらいの段階で)娘で最後の一個というのがいくつかあった。私たちより数秒遅れて来た母娘の落胆した表情が辛かった。ごめんな……

何度も書いて恐縮だが、私の高校時代は実に楽しく安楽だった。今にして思えば私を含めて「イジメ」の対象になってもおかしくないと思われる者が何人もいたが、それを「個性」と受け止め誰かが誰かを意図的に攻撃するなど本当になかった。デブでもチビでも先天的な病で全身にはっきりと目視できるものがあっても、大やけどした人も、それがつき合う上で何も問題がなく過ごしていた。そんな中で私が好きになった人は「被差別者」と呼ばれる家系の人だった。それは小さなころから彼と付き合いのある人は知っていたそうだが、途中でこの土地へ越してきた私にはそれを知る術もなく、結婚を意識した時に彼自身からそれを打ち明けられた。彼には元々、身体に障害があったがそれを含めても私が気にして、結婚を諦める理由にはならなかった。しかし、それらの事実を前に横やりを入れてきたのは毒母だった。「身体に障害があって、○○(差別用語)でって、そんな人に自分の娘を嫁になんて……」毒母は相手を徹底的に馬鹿にした。毒母のろくでなしさを改めて見た私は毒母に「我が家は公家じゃあるまいし、家柄も糞もないだろう。ガタガタ言うなら親子の縁を切って結婚するわ」と言うと、毒母は取りあえずは黙った。しかし、本当の敵は意外なところにいた。

「戸籍は繋がっていても、母子家庭の娘なんでしょう?おまけに病気ばかりして入院・手術までしているなんて!」これらの事象を理由に結婚を反対したのは、相手の両親(特に母親)だった。差別ってものが本当に存在していて、人の心を蝕んでいるのだと私は実感した。すったもんだがあって、挙式目前で私は彼と別れることとなった。その後、更に色々とあったが、亭主と出会い結婚した。亭主の実母であり姑であるヨシエ(仮名)に、私は自分の親のことなど隠さず話したが「事情のない家庭なんてないわよ。娘の旦那も色々と訳ありだし、つり合いが取れていいんじゃない?」とまで言われた。ヨシエの「事情のつり合い」の言葉がおかしくて、そしてヨシエの本人にはどうしようもない事情で人間を見ることに何の意味もないという思想に私は、この人の懐の大きさを見た気がした。結婚して亭主とは色々とあったが、結婚してからの幸せというのは配偶者にだけ託して文句を言っても得られないのだと、互いに努力してつくり上げるものなのだと知った。

3年ほど前のこと。高校時代の同窓会の知らせが来た。行きたいが、会いたくない者もいる。しばし考えたが自分は悪いことをした訳ではなく、何も逃げ隠れすることはないと思い出席をした。彼は来ていなかった。

二次会の会場ではみんな酒が入ってかなり「ご機嫌」になっていた。私は翌日、検査入院を控え尚且つ、酒は飲まないのでしらふで懐かし話に花を咲かせていた。そこに同じクラスだったP子がビールのグラスを片手に私の隣へやってきた。かなり酒が入っているようで、目の焦点も理性もどこか彼方へ飛んでいた。それでもわずかに残った理性が、P子の声を小さくしたのだろう。「私、数年前に○○(別れた男の名)の母親と会ったんだわ」。正直、今の私にはどうでもいい話題だった。しかし、酔っぱらいというのは、こちらの都合も考えないし容赦もない。「職業柄、私、どうしても着付けの資格を取らないといけなくなって、着付け教室に通ってたんだけどね。そこに○○の母親が新入生として来たの」P子の表情に悪気は微塵もない。P子は○○と私の破断話も知っていて、まぁ酔っているから仕方ないやと、私も腹をくくってウーロン茶片手にP子と向かい合った。「それがねぇ、先生が手順を説明してそれを真似るんだけど、○○の母親だけは、どうしても先生が教える手順でしないの。先生も始めは“○○さん、こうですよ”って優しく教えるんだけど、○○の母親はそれを頑として受け入れないんだよね。他の生徒の手前もあって先生は何度も手順通りにって言うけれど、○○の母親は“私は今日までこのやり方でやってきました。これで不都合は何一つありませんでした!私のやり方に間違いなんてありません!!”って言い切ってんだよ。先生、その場で切れちゃって“だったら、わざわざここへ通って私に教えを乞うことはないでしょう。このまま辞めてください”って初日30分で退学!」リアクションに困った私に「嘘じゃないよ。私の他にも何人もの生徒が見ていたし。つーか、笑いなよ。ここで笑わないで、どこで笑うのさ」とP子は豪快に笑った。P子は更に教室が始まる直前まで他の生徒に「うちのお兄ちゃんのお嫁さんにならない?」と、既婚未婚を問わず、片っ端から声をかけまくっていたと大笑いした。「あんな姑のいる家に嫁に行っていたら地獄見てたよ」P子はそこまで一気に捲し立てるかのように話すと、ビールグラスを片手に少し回転しながらまるで竜巻のように去って行った。こんな状況で私は昔の男の状況を知るに至った訳だ。彼が既婚でも未婚でも、そんなことは結婚に対する個人の価値観でもあるのでどうでもいいが、彼の母親が着付けの先生に最後までたてついていたことが、妙にツボに入って私は二次会の間、ずっと笑いが止まらなかった。

あ、「三歩下がって師の影を踏まず」と覚えている人、違うぞ。正確には「三尺(もしくは七尺)下がって師の影を踏まず」が正解。特に受験生は覚えておきましょう。