昨日よく眠れた? ブログネタ:昨日よく眠れた?

深夜、自宅で突然、病で亡くなったとする。ここを読んでいる方々は「元気だった家族が息をしてない」と分かったら次にどのような行動にでるだろうか?

たぶん、まずは救急車の要請をすると思う。息をしていなくても、専門家が何かをすれば蘇生のチャンスがあるかも知れないと一縷の望みを託す意味も込めて。けれども、死亡していると判断されると救急隊員は警察へ連絡をしてくれる。で、警察が複数人、家の中へやって来る。これは入院中に亡くなるのとは違い、一見しても病死、他殺、自殺かわからないからで、取りあえず警察は事件性を疑い呆然としている家族を個々に分けての事情聴取を開始する。「最近、亡くなった人との関係は良かったのか、悪かったのか?」「揉めていたことはなかったか」「亡くなった方の預貯金通帳など出して見せてください」「既往症は」……ドラマのように泣いて騒いでいる暇なんてないようだ。ドラマのように遺体となった家族にしがみ付いて泣くなんて、証拠保全のためも兼ねて引き離される。

ここで亡くなられた人にかかりつけ医がいれば、救急車を呼ばずこちらの医師に連絡をすれば、適切な死亡診断書を書いてくれるそうだ。が、今の時代、行きつけの病院はあっても、定時になれば診察終了の看板が出て、医師も看護師も帰宅して連絡なんてつかない方が当たり前だ。仮に診療時間内でも、「先生にお世話になっているばあちゃんが亡くなったみたいなので来てください」と頼んでも、診察室で待つ患者を放置して来てくれる望みはほとんどないと思った方が間違いない。

かかりつけ医がいれば、既往症など踏まえて適切に診た上で死亡診断書を書いてくれるが、かかりつけ医がいない場合、警察が「指定医」を呼んでくれて、その医者が「死体検案書」なるものを書いてくれる。ところがこの検案書の値段が住んでいる場所でまちまちだ。東京都は監察医務院が書いてくれるので基本は無料。しかし、それ以外の指定医がそれを書くとなると下は一万円前後から上は七万円前後となる。「金がないから……」は通らない。絶対に。死亡診断書がないと、遺体すら移動することが不可能になるのだから。

私の毒父は外出中に路上で血塗れになって死んでいて、解剖して動脈りゅう破裂と診断が着いて死体検案書が出された(らしい)。

「自宅で死ぬ」=「畳の上で死ぬ」って年寄りがよく言うが、現実には自宅で死なれればかかりつけ医がいて、日頃から来るべきXデーを想定しながら暮らしていないと、疚しいことがないなりのスムーズな進行は望めない。
(自宅で亡くなった場合「死体検案書」、病院で亡くなった場合「死亡診断書」と名称も記入すべき事柄も値段も全て違う)



夜明け前の吹雪の闇の中。救急車の音で目が覚めた。窓の外には赤橙の赤が踊ってるように見えた。救急隊員が道具を持参して家に入る。AED(自動体外式除細動器)の音声ガイダンスが何度か聞こえる。救命の講習会で体験していたが、やはりこの音声は心地よくはない。救急車とほぼ同時にパトカーも来て近隣の交番から警察官二名も立ち会っていた。心肺停止して約30分、救急車は取りあえずその人を病人として運んだ。同伴家族一名を載せて。時を同じくして今度はセダンに乗った警察官らしき服装をした三人が自宅へ入っていく。残された家族は病院に付き添うことも出来ず、家族の安否を気にしながらも警察からの聴取を被疑者として受け続ける。

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深夜、マンションの隣家で起きたできごと。毒母が自宅で病死した時のことを想定して、調べたものだが、本当にそのままだった。ご冥福をお祈りする。

と、言う訳で寝ていない。