朝イチで高齢の亭主の身内が亡くなったとヨシエ(仮名)から電話を貰い、亭主と駆け付けて来た。ヨシエの実の姉で生涯独身だった。ヨシエは大きな既往症を持ちながらも、まさに身を削るように介護し続けた。

今、葬儀場にいるが、やはり身内が揉め出して私はやつれ果てたヨシエに、預かっていた金を他の身内に渡して後は参列者としてラクをしなきゃ死ぬぞと言った。ヨシエはとりあえず一旦、自宅に戻った。仏さんの前で身内が声を荒げて揉めている。私は寒い廊下で中耳炎になってしまったらしい娘とLINEで連絡を取りあってる。一度戻って明日朝イチで耳鼻科行きだな。

そんな中、娘から連絡があった。
「お母さん、ブログの漢字…杉浦じゃなくて杉原だよ」
葬儀場でスマホを手に背を丸め、漢字の訂正している情けない自分。 

自宅に戻ったヨシエは、故人の写真をテイクアウトしてしまい亭主が慌てて取りに行ったが、私が腹を空かせているだろうと亭主にサンドイッチを持たせてくれていた。私もヨシエも自分たちの関係を他人に伝える時、決して『義理』の言葉は使わない。ヨシエが母で良かったと線香臭い場で心底思ってる。