ストックしてないと不安なもの ブログネタ:ストックしてないと不安なもの

 米・米・米の一択。貧乏していたんで、米が底をつく恐怖が忘れられない。暖をとる燃料は廃品回収して何とかしたけど(子供の頃)、米だけは買わないといけない。今も米が減ってくると貞子が10人編成で来るよりも恐怖を感じる。常に見える場所に米が10キロくらいあると心底、安心する。


 さて、かなり前からTBSで「噂の東京マガジン」という番組が放映されていて、その中に「やってTRY!」というコーナーがある。街中で若くてチャラそうな女性に声をかけて、指定した料理を作らせるというものだ。街中にミニキッチンまで用意しているが、用意周到なのは例えば「サンマ」を使った料理を指定するのに「アジ」や「鮭」、「イワシ」なども一緒に置いて、料理の手際の悪さだけではなく、化粧やオシャレには気を使うくせして魚の名前もろくに知らないってことも、馬鹿にしたいらしいというスタッフの思いが垣間見える。かなり昔、私は自分もさして料理ができないけれど、それを見るのがおかしくて意識してみていた。しかし、ある日を境にして私はこの番組を見なくなった。

 番組の司会や進行をする男性陣(女性は少数)は、料理の基礎も出来ない若い女を嘲笑し蔑み嗤う。確かに悪趣味ではあるが、これは番組に出ることを了承した女性側もそれを想定できたであろうから、別にどうでもいい。問題は蔑み笑う男連中だ。 「いい歳をして、こんなことも出来ない」と馬鹿にして笑うからには、当然、お前らはそれなりにできるんだろうな?」と思うようになってしまったのだ。

 「やってTRY!」自体、相当の長寿コーナーであり、毎回、女を馬鹿にした後にスタジオへその道のプロを呼んで、その料理を出演者の目の前で作り出し、それを「うまい」「さすがプロ!」と褒めたたえながら食う。十年以上も毎週毎週、こんなことを繰り返していて、料理も何回も重複したものもある。プロの実演を毎回、目の前で見て説明も受けて喰らって、だったら当然、お前らも相当のものが作れなかったら、箸を持ってヘラヘラ笑う女たち同様に嘲笑されても文句は言えまい。まさか、毎週、超が付く料理人の腕を見せてもらい、作り方を教えられながらも、未だに卵焼きやぶりの照り焼きも作れないなんて言わないよな?もしも、自分ができもしないのに、他人を指さし笑っているとしたら、最低な行為だと私は思う。あの番組で料理が出来ず途方に暮れている女たちは、基礎の基礎が出来ないのであって、そのきっかけを作らなかった親を嗤う方がまだ理に適っているのではないだろうか?いや、家庭の数だけ様々な事情があるから、一概に料理だけを抜き出して嗤うなんて下衆もいいところ。

 何にしても、自分が出来ないことを、さも出来るふりをして嗤うってのは、人として品性の欠片もない。あんなものを見て笑っていた自分もきっとその頃から品性下劣な方向へ向かっていたと思うと情けない。

 あの番組の主演者連中に一度でいいから、放送時間いっぱい使って、これまで出た料理を作らせて欲しい。人を嗤うくらいだから、さぞかし包丁遣いも素晴らしいに違いない。あの番組で私は、何かを出来ない者を嗤う下衆な品性は持ちたくはないと教訓を得た。