涼しくなる方法教えて ブログネタ:涼しくなる方法教えて

少し前まで同年代女性にストーキングれていた。今思い出しても恐怖を覚える。そのさなかにいた頃、思えば暑さって感じていた記憶がない。

自分の趣味の小説を読んで作品を好きになってくれた人だった。明るくて快活で画力のある人だった。
知り合い即、意気投合し私たちはメールや手紙、電話などで付き合い始めた。自分にとっては満たされた日々だと思っていたけれど、相手はそうは思っていなかったらしい……

私の作品をイメージしたイラストをどんどん描いてくれて、私のサイトは華やかになった。私には画力はゼロなので、自らの手で思うままの絵を描ける彼女が私は心底、羨ましく憧れもした。ところが彼女は違った。
白い紙にGペンで繊細な線までもを描き、トーンを切り貼りするし、その原稿を私がスキャナーで微調整しながら読み込ませサイトに載せる。素晴らしい作品を預かり、それを載せられる訳だし、私にはそれが「手間」など思うこともなかったし、そんな貴重な手書き原稿を手にする機会もなかったから、むしろ嬉しかった。けれども彼女は次第に変貌していった。

「あなたの小説に白黒のイラストは似合わない」

突然、こんな言葉を私は投げつけられた。
あなたのサイトには他の人が描くPCを使った色とりどりの作品が似合うと言う。誰かがそんな心無い言葉を言ったのかを訊いてもそれはなく、あくまで自分の考えだという。その言葉と思いは勝手に彼女中で増幅し、いつの間にか
「あなたもそう思っているに違いない!」
と、私を責めたてるようにさえなってきた。
「私がいつ、そんなことを言ったの?」
「いや、言ってないけれど私には分かる。あなたは絶対にそう思っているに違いない!!」
その一言で、それまで他にも耐え忍んでいた心の中の線がプツリと切れたのを私は感じた。

私は他人に、「自分(あなたは・お前)は、きっとこう思っているに違いない」と決め付けられ言われることに限界を超える嫌悪感を感じる。それは毒母が絶えずそうやって私の心を勝手に決めつけ詰り蔑み続けたからだろうと思う。卑怯な奴はリスクのある言葉を「自分の言霊」として吐き出そうとはしないのだ。言いたいことを散々言って、その後に取ってつけたかのように「って、どうせアンタはそう思ってるんでしょう?」と言い、自分はすぐさま安全圏内に逃げ込む。言いたい放題言われた側は、それを自分の思いだろうとぶつけられたまま怒りを吐き出す相手もタイミングも無くして途方に暮れるしかない。

その後、彼女は某サイトで新たなアカウントを取得して、はじめましての書き出しで私にメールを送ってきた。内容は「あなたの小説に今、載せているようなモノクロ手書きのイラストは似合いませんね」だった。あのなぁ、人様の公開作品にそんなイチャモンつける奴、他にいないよ。しかし、ここまでして、私の気持ちを一方的に決めつけ、更には自らを貶めるその思考が私には理解できないし、したくもなかった。

「私は他人からアンタはこう思ってるんだって勝手に言われるのが大嫌いなんだわ。
 言いたいことがあれば自分の口で自分の言葉で話し合えばいいのに。
 あなたには私の心の中の何が見えてるの?
 私はあなたの作品が大好きだったから、そのまま言葉にして好きだとも言ったし大切にもしてきた。
 そうやって、私の心まで勝手な言い分で支配しようとするあなたとはこれ以上、付き合いきれない」

現実には他にも色々とあったけれど、これが一番のきっかけとなって私は彼女に絶縁を伝えた。しかし、彼女の真の恐ろしさはここから始まった。

「これが最期の手紙(メール)となります」
から始まるものを以降、私は延々と両手で数えても足りないくらいに受け取ることとなる。
「最後」ではなく「最期」と表記してくるのは、常に自殺をほのめかしているからである。
米粒に写経したかのような小さな文字がぎっしりとかなりの枚数の便箋を埋め尽くす。死にたい、死なせて、大怪我したのは罰があたったからだ等、一緒に鬱になって手を取り合い死にましょう的内容に近づいていた。

考えてみると私の毒母も全く同じことをしていた。酔って「死んでやる」「お前なんか殺してやる」のオンパレードで私は厳冬の北海道で素足にパジャマで逃げ出したこともあった。PTSDとかアダルトチルドレンなんて私は自分にレッテルを貼るのは嫌だから、忘れ去ろうと記憶の外にそれを押し出していたが、彼女の言動は追いやったはずの身の毛もよだつ過去をいともたやすく、私の目の前に引き出してくる。

「○○してくれなきゃ、死んじゃう」
自分の命を何かと引き換えにして、誰かと話をするなんて最低だろう。命はそんな都合のいい、そして簡単なアイテムじゃないのだ。彼女の意図とは真逆に手紙やメールが来るたびに、私の心は確実に彼女から離れた。
その頃、毒父が交通事故で大怪我をしてその介護でバタバタしていた時。娘も進学して様々なことが起きていたが、彼女はお構いなしに「自分の気持ちだけ」を私にぶつけてくる。いくら拒否しても拒否してもだ。

もう限界だった……

付き合いのあった弁護士に相談した。弁護士はまず、手紙やメールをすべて揃えて警察に行けと勧めてくれた。一度でも相談した実績があれば、何かあれば即、動いてくれるというのだ。弁護士からも内容証明郵便を送ると言ってもくれた。けれども、考えてしまった。

彼女にもそこそこ老いた親がいて、弁護士からそんな手紙や、揚句は警察からストーカー容疑で話を聞くなどと自宅に来たりしたら、どんなに落胆するだろうかと。そんな時、また彼女からメールが届いた。
「私は平気。今は清々しい気持ちでさえあります」(要約するとこうなる)

これを目にして私はキレた。本気でキレた。
他にもあった彼女の言動に私たち家族は現住所やら様々な個人情報を渡していた。常軌を逸した人が…家族や身内をも巻き込んで私たちは恐怖を感じ、今のこのマンションへ転居するに至ったのだ。
金もないのに引っ越し費用をねん出して、娘が生まれ育った仲間がいた住みやすい土地を私たちは彼女の存在が怖いがために去ることとなっていた。ボロボロになって金も無くして、今まで逃げてはぐらかしていた毒母との同居を選択するしかなくて、その毒母には連日、無理難題を言われ続け家族はもう崩壊状態だった。それまで手紙やメールを無視し続けていたが、私はこれでダメなら本当に警察沙汰だと最後のメールを送った。
「自分の思い通りにならないからと、あなたに好き勝手やられて結果、私たちは子供を産み育んだ思い出
深い土地を去るしか手段がありませんでした。借金してまで始まったのは地獄のような暮らし。何が清々しいんだ、私は平気だってんだ。いい加減にしてくれ。次、何かあれば必ず迷うことなく警察に駆け込むから。もう、あなたの親のことも考えず警察を頼ります」

以降、やっと私たち家族はストーカー化した彼女から解放された。(本当はもっとエグイことも言われてされたりあったけど、話も特定される部分は盛っておきましたので了承願います)



それからしばらくして、私はちべた店長の作品と偶然出会った。某サイトにあり、私の心を捉えたのは彼女のモノクロ作品だった。(色付きもありました)
その後、ご縁があって手書きイラストをいただくこととなって、それを手にした時、色鉛筆の優しい質感に実にあたたかな気持ちになった。手書きは古い、白黒なんて言った彼女の思いは私は今も理解できないし、理解しようとも思わない。

思いを込めて描いた作品には命が吹き込まれるのであって、モノクロに命がないなどということはあり得ない。だって、私たちの世代って、どんな形であっても本って媒体でマンガを読んで感動したり夢を膨らませた世代じゃないか。そのほとんどの作品はモノクロだったはず。
自分の作品は生み出したからには、自分自身が最高のファンであり続けるべきだと私は思う。(私は自分の小説の一番ファンだと思ってるし)


心の恐怖は身も心をも冷え冷えさせる