家具はこだわる? ブログネタ:家具はこだわる? 参加中

「こだわったからこそ作ったんだ」と笑顔になった私と、それを見て暗くなった亭主の話。と、言っても家具ではなく家電なんだが、家庭を彩るってことでご容赦を。遥か昔のお話です。まだパソコンが30万くらい平気でしていた頃の……


当時、亭主は在宅勤務をしていた。在宅でパソコンを使う仕事を始めてから、狭い我が家の中はパソコンだらけになっていた。
「おいおい、こんなにパソコンがあるのに、自作するってまた増えるのか?」
仕事用のパソコンがもう一台、必要になったと申し訳なさそうに言う亭主の言葉に私は半分呆れて聞き返した。
部屋の何処に視線を向けても必ずパソコンとネコが視界に入るってこの状態で……またかよっ。(当時、我が家にはネコが10匹いた)
「だって仕事で使うのに必要になったんだもん。自作費用も社長から貰ってるし」
後日、亭主は抱えきれない程の自作部品を買って来た。そして、仕事部屋にこもると数時間で組立を終えてお披露目してくれた。
「おおっ!」そこにはミニタワー型のパソコンが一台、凛々しく鎮座していた。ところが、「ん!?」ふと視線を移すとその横には、今まで仕事用としてメインに使っていたPCが、今回、自作する為に必要なパーツを取られスカスカな状態で申し訳なさそうにいた。


「これ、どーすんの?」
「空いた部分(部品を抜き取った部分)に、他から部品を移して使おうとしたんだけれど……ケースのサイズが合わなくなっちゃったんだよ。CDドライブを移したけど、今度は本体のケースが合わなくて。合うケース買うからお金ちょうだい。安くて6000円くらいで、いいものは2万、3万っだって……」
「何でも金で解決しようって根性が気に入らねぇなぁ。それに金はないぞ。逆さに振っても鼻血も出ねぇよ。
ミソもしょうゆも砂糖もきれてるんだよ。ケースなんて買って茹でてもダシも出ねぇだろ?んなモンに6000円も出せるか」
「そんなぁ……むき出しじゃ使えないよ。ホコリも入るし」
「安心しろ、お前の頼れる妻がビシッと合うケースを作ってやる」
翌日、私は近所のスーパーに行くと箱を貰って来た。
ネコ達が喜んで箱に入るのを、心を鬼にして振り払うと、私はハサミとガムテープを用意して早速、創作活動に入った。
「ダンボール箱にガムテープ!?そんなモノで出来るワケないじゃん」
「昔、『できるかな』でノッポさんが作ってたんだよ」(ないですから、一応、念のため書いておく)
と、もっともらしい言い訳をしながら、ハサミを持つ妻の手は軽やかに動く。
約1時間、こうして「妻自作“なす1号”」が堂々完成した。




満足した顔の妻の横で、亭主の顔はナスのように青かった。



ラブリーだと思う。「なす1号」は何ら問題なく、しばらく活躍したことを付け加えておく。