久々に自分の趣味の小説に着手しようとしていたけれど、猛烈に忙しいはずの自分『師』と勝手に仰ぎまくっているお方が、ブログの更新をされいるではないか!?
こんなぬるいことをしていてはいけない。
ってな訳で(どんな訳だろう?)、前のブログでその後がどうなったのかと、質問続出していた話の総集編をここに持って来ることにしました。
あっ、ここでブログやってるってまだ、誰にも教えてなかったっけ。まぁ、いいか。
では、お話の始まり始まり……

 私達夫婦は出会って付き合い、1年間の同棲、入籍、結婚式と普通の人とは順序が少し違う。双方の親に反対されて、それでも互いに諦めきれず愛が盛り上がり、いかなる障害をも乗り越えて……などと言う「橋田寿賀子ドラマ」な、壮大な物語も存在しない。単に私が病弱で、結婚しても主婦としての仕事を全う出来るか自身で疑問だったので、私からあえて両家の親に頼み「1年間のお試し期間」を設けてもらったのである。この1年も「ある一点」を除いては順調に進み、ちょうど1年後に私たちは入籍した。
 さて、その「ある一点」とは、互いに入院中に知り合った私たちは(詳しくは後日ネタとして書きますね)身体の中に金具を持っており、その除去手術を行ったが、亭主の病状が思わぬ展開を見せて、10月に控えていた結婚披露宴を行うことが出来なくなってしまったのだ。入れていた金具を抜く段になって、かなり重篤な状況に陥っていたと私たちは主治医から説明を受けた。
それまでの「上げ膳据え膳」の極楽入院生活が一変、私たちは病院から双方の親に連絡したり、結婚式場のキャンセル、主治医を交えて何時なら結婚式を行えるのかなど相談に終始した。そして、結婚式は3月に延期と言う答えが出て、一応の決着を見た。しかし、それがあの「複数新婚旅行」への序奏に結びつくなど、その時は互いに知るもなかった……

1月のある日、私は雪道で転び(札幌在住)尾てい骨にヒビを入れるという大失態を犯してしまった。その痛みは歩くことはおろか、自力で立ったり座ったりすら出来ない程であった。
「ね、無理だよ、結婚式。たまちゃ自力で座れないんだよ!?延期しよう」
亭主が私の顔をのぞき込む。
「やだ!ここでまた延期したら一生出来ない気がするから」
二度も三度も結婚式の延期ってあり得ないだろう。もう、ここまで来ると殆ど「意地」でしかない。そして3月、痛みを堪えての「結婚披露宴」が行われ……いや、強行された。童顔の亭主は千歳飴を手にしたら立派な「七五三」私は時代村の「花魁道中」の花魁の様にド派手な嫁となった。歩くごとに、尾てい骨に激痛が襲う。
金襴緞子の帯締めながら、花嫁御寮は晴れの舞台に「般若の顔」。
「痛い……」我慢もピークに達してついに、私の目から涙がひとしずく
涙は一度出ると、もうどうにも止まらない山本リンダ状態。後から、後から滝のような涙が出てくる。そんな私に、司会の女性が厳かに言う。
「花嫁は感激の涙でいっぱいです!」
違う、ケツが痛いんだ、ケツが。ただそれだけだ。愛も恋も今、私の脳内には皆無だ
痛みとはかくも人格をここまで崩壊させるものなのだと私は高砂席で実感していた。
一度くらい綺麗な服を着て主役を演じてみたいの考えから、ここまで拘った結婚披露だったが、もうそんな事はどうでもいい!
3分でいいから、みんながうつむいてくれたら、私はきっとこの「色打ち掛け」の裾を思い切り捲り上げて、うつ伏せになり、デザートのおめでたい「富士山アイスクリーム」を尾てい骨上に置き冷やしていた事であろう……
「感激屋で涙もろい花嫁さん」の名を欲しいままにした、怒濤の結婚披露宴はこうしてお開きになった。

本来ならこのまま「新婚旅行」へとなるのだがこの時期、亭主の仕事が忙しく翌日にも仕事が控えていたので、新婚旅行は諦めていた。
しかし、私の親戚が神奈川県に多数いることから、「ゴールデン・ウィークを利用して来たらいいのに」との話が出て、祝い酒を引っかけた親戚一同が私たちの意向など全く聞かぬままに「ゴールデン・ウィークは熱海で過ごす」というシブイ予定一方的に組まれてしまった。貫一・お宮の話で盛り上がる親戚に、唯一、口を挟めたのは「ディズニーランドだけどうしてもコースに入れて欲しい。」との懇願だった。もう、こうなると誰の何の為の新婚旅行なのかわからない。大体、結婚直後の幸せいっぱいの若い夫婦が何故、貫一・お宮が辛い別れをした謂われの地へと行かねばならないのかも疑問だった。
折しもこの頃、熱海では「若人あきら失踪事件」がワイドショーを賑わしてしたので亭主と「本物の若人あきらや、芸能レポーターの梨元や福岡翼に逢える方がディズニーのアトラクションより数倍楽しいかも……」と、私たち夫婦は親戚とは全く違った視点で、熱海行きを楽しみにし始めていた。
429日、札幌発、北斗星での新婚旅行が決定した。
ところがこの話、後に以外過ぎる展開を見せることとなる。

《つづく》