私は19724月、東京大学建築学科を卒業し大成建設(株)に入社しました。当初から現場勤務を希望していましたので、東京都内の作業所に配属されました。

入社式が終わると、作業所から事務担当の人が迎えに来ていて、同じ作業所勤務の田丸君と一緒に作業所へ連れて行かれました。事務所に入ると、長谷川所長が、厳つい顔をニコニコさせて、「おお、来たか。頑張ってくれよ。」と迎えてくれました。

中学の同級生の長田君が雇員で勤務しており、出迎えてくれたのでまずびっくり、「君たちの部屋は階段の下にあるから、そこで寝泊りしなさい。」と言い渡されて二度びっくりでした。当時は新入社員が作業所に泊り込んで勤務するのは当たり前のことだったわけです。

 私の「建築施工」への関わりはこうして始まりましたが、この情景はつい昨日のことのようにはっきり覚えています。

 以来36年、1998年に大成建設を退社するまで、作業所勤務をはじめいくつかの部署で勤務しましたが、勤務地は全て東京都区内でした。地方勤務の経験が無かったことは、ちょっと残念な気がしています。

 退社後は、数社の役員や技術顧問を勤めましたが、現在は一昨年体調を崩したこともあり、全くリタイアの身分です。

時たま元同僚たちと会合を持つと、話題の筆頭は病気の話しになってしまい座は盛り上がりませんが、若かりし頃の現場の思い出話になると、全員が目を輝かせて語り始め、さらに現在の建設業界に話題が移ると、時間も忘れて話し込んでしまいます。

 ところで、「施工技術」は進歩しているのでしょうか。

高品質・高性能な新建材、高揚程の揚重機、大深度の掘削機等の進歩は目覚しいものですが、それらを使いこなして建築物を効率良く構築してゆく技術は追いついているのでしょうか。

また、身近な話としては、住宅の地盤沈下、タイルの剥落、断熱不良、結露・かびの発生、遮音問題、等々私が新入社員の時に悩まされた問題に今も悩まされています。

ゼネコンの悪しき代名詞「談合」に関しても、その根底は殆ど改善されていないのではないでしょうか。最近のゼネコンは恭順の意思表示のためか、ひたすら頭を垂れていますが、周辺は役割も機能も何も改善されていません。ゼネコンがひたすら頭と垂れていれば、談合は無くなるのでしょうか。これに代わる悪が蔓延ってはこないのでしょうか。どうも納得いきません。

今後、これらの事柄に関して、私見を述べてみたいと思っておりますで、お付き合い戴けたら幸甚です。

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