ジョーカー お前、勇者テイトーみたいな奴だな。

ゼル(魔法剣士) 俺が!?冗談だろう。

ジョーカー いや、シャチさんには敵わねぇが、強い魔法剣士には変わりねぇ。

ゼル そんな伝説の魔法剣士と比べるなよ。


 勇者テイトー

魔道の名門一族に生まれながら、生まれつき魔力が低く廃嫡された。魔道学院の職員として働きながら鍛錬を続けたが、30歳を過ぎても魔道士のみならず剣士・学者・サラリーマンとしても評価されるに至らなかった。


魔王カエサリオンによる侵略を受ける人界、魔道学院にも戦力増強の要請があり、忙しさを増す。


テイトー「もう、平凡な勤め人として一生を終えるのが良いかもしれん」

あるとき転機が訪れる。人員不足で魔道理論の講師を任される。魔力や頭の良さは平凡でも、幼い頃から研究を重ねた魔道理論の深さを評価される。

テイトー「なぜ俺が急に評価される?」

諸葛亮(当時10歳)「テイトーさん、やはりあなたは優れている」

テイトー「子どもがなぜここに?」

諸葛亮「新たに魔道学院の経営をまかされました」

テイトー「君が諸葛の養子か、天才と聞いている」

全く新しい魔法理論を語る諸葛亮、魔力が低くても運用技能で強くなる名もなき理論。

テイトー「それは凄い!」

天才少年の道楽と笑われること3年(待遇は平職員のまま)、新たな魔法技能「魔法剣」が生まれる。

諸葛亮「さすがテイトーさん、あなたでも5年は完成にかかると思っていました」

テイトー「何のために俺に近づいた?」

諸葛亮「魔王と打ち破る勇者を得るためです」

テイトー「俺が勇者だと、冗談だろう。ただの薄給中年男だぞ」

諸葛亮「明日、魔界に乗り込みます」

テイトー「やめろ56される」

諸葛亮「僕はあなたの知識や技能のみを見たわけではありません、勇者の武器は勇気です。あなたの心に勇気の火種を投げ込んで来ました。あなたは世界を救う勇者です!」



転移魔法、魔王城

テイトー「おいおい亮、本当に魔王に会うつもりか」

諸葛亮「はい」

士元「よく来たな」

諸葛亮「先輩、手配ありがとうございます」

テイトー(あいつ、魔王軍司令の士元じゃないか!この小僧とんでもない奴だ)

諸葛亮「どうです?怯んではいないようですね」

テイトー「ああ、魔王軍はもっとおっかないと思っていたが、そうでもないのか?」

諸葛亮「あなたが強いということです。こちらが一軍の鍛錬場です」

テイトー(魔界の精鋭部隊…なんだ、特別凄い奴らに見えないぞ)

士元「魔王様がお待ちだ」

テイトー「え?」

諸葛亮「行きましょう」

テイトー「ちょっと待」

扉が開く。

バオーン「バオ」

諸葛亮「はじめまして、魔道学院責任者の諸葛亮です」

テイトー(あれが魔界最強の男?なんだ、意外に普通だな)

諸葛亮「バオーン将軍と勇者テイトーで試合を行います。あなたが力を示せば、勇者として認められるでしょう」

魔王カエサリオン「始めろ」

テイトー「えっ何それ聞いてない」

バオーン「バオーン!」

テイトー(でかいくせに速い!そして間違いなく頑丈で怪力)

諸葛亮「勇者テイトー、飛び道具は魔力の無駄です!魔法剣で戦って!」

テイトー(何が勇者だ!)

バオーンの烈火象神拳

テイトー(いきなりかよ!)

受け流しながら魔力を打ち込みカウンター、連打を一つ食らう。

テイトー「ごぼっ!(倒れてたまるか)」

士元「無理じゃねぇの?」

諸葛亮「いえ、効いています」

両腕に魔力を打ち込まれ、腕が上がらなくなったバオーン

士元「嘘だろ?バオーン一族の奥義を潰しやがった」

魔王カエサリオン「そこまでだ!勇者テイトー、お前の力は分かった」

士元「岩を粉々にする突きを食らって、ゲロも吐かんのは恐れ入った。よろしく頼む、勇者どの」

諸葛亮「魔王カエサリオン、私の献策を用いてくださいますね?」

カエサリオン「良かろう」

テイトー「何だそりゃ?」

諸葛亮「魔王領は魔界の半分もありません。魔界統一を成した後に、経済力と外交をもって人界と同盟する。天下統一の道を示しました」

テイトー「負けたよ天才軍師、あんたについていく」


魔王カエサリオンによる暴力的侵攻は終わり、知略と最小限の武力行使で魔界を統一。2年後、大魔王カエサリオンとなる。


士元「参った、やはりお前は天才だ」

諸葛亮「いえ、先輩が荒れた経済と治安を踏みとどまらせてくれたおかげです。先輩が司令に就任して残虐行為も大きく減っています」

士元「そりゃどうも」


師匠(見ているか亮、こいつが天才軍師リバイア、お前のようなゴッドハンドの軍師だ)