最近の成人式は時代を反映してか、和服を着ている女子はずっと少なくなった印象を受ける。

その理由をいろいろ巡らせてみると、やはり費用がかかりすぎることに尽きると思う。


それならばと割安の和服で済ませようとすると、チープ感は否めない。


となると成人式に何を着るかとなると、奮発して和服にするか?割り切ってスーツにするか?


どちらかにならざるをえないのだろう。


なので二十歳の女子が和服を着れるかどうかは、100%親の収入に依存している。


ボクらの時代は、そうは言っても親は世間体もあり、普段は爪に火を灯すくらしをしてでも、成人式には娘に和服を着せる親もいた。


しかしその和服はというと、その後の生活では全く着る機会はなく、就職・結婚・転勤などで引っ越しをするとなると、捨てるにはもったいないので、しかたなく運んではみるものの、結局は着る機会はなく、引っ越すたびに捨てるか運ぶか悩み、何十年も押入れを占領して陽の目を見ることはついにない。


ボクの知人は、成人式で1回着たきりであとは捨てるに捨てられなくて、引越しのたびに運んでは見るものの、40年間処分に困っている、と言っていた。


こういう現実はどこの家庭でも多かれ少なかれ語り継がれ、今や和服を購入する家庭はほとんどない。成人式で着るにしても、レンタルが多いと聞く。


こういう現実を見せられると、和服とは日本人にとってどういう位置付けなのかと考えてしまう。


普段ボクらは、ジーンズにTシャツとか、背広にカッターシャツ・スラックスとか、普段着は100%洋服だ。


ではなぜ、ボクらは洋服を着るのか?


それは着やすくてコスパがいいからに他ならない。


ではなぜ洋服はこんなに、和服に比べて着やすいのか?


それは服自体が人間の体のカタチにあらかじめ形成されているからだ。


和服の場合は、生地の扱いにくさもあって、縫いは非常にシンプルで、着る時に体に合わせしかない。なので、和服を着るには一定の知識・練習が必要。


洋服の場合は、買うときにズボンやスカートの丈を調整しておけば、以後、着る時には大した労力はいらない。


そして大きな要素はメンテナンスの費用だ。


和服は滅多に着ないが故に、どのタイミングでクリーニングに出すか?コストを抑えようと、クリーニングに出さないとすぐに傷むし、頻繁に出すと、それだけお金がかかる。


全くもって絶望的である。


かかる理由でもって和服は、現代日本から絶滅危惧種となった。


しかしこのように、ローカルな文化が大勢に流されて失われていく現象は、なにも和服だけではない。


民族衣装=和服、民族舞踊、民族音楽、民族言語などなど、ローカルな文化は人間が交流すればするほど優勝劣敗で、勝ち残った少数の文化だけが世界中に蔓延することになる。


今のGAFA・IT業界がまさに同じ現象だ。


じゃあ日本は今後、和服をどうしたいのか?


個人のレベルで和服を維持するのはもはや不可能なのではないか?


となると政府の方で一定の方針を定めて、国として維持する努力をしていかないと、近い将来和服は、絶滅するに違いない。


ボクはそう思う。


みなさんはどう思われますか?


※日本は「おもてなし」の国とかいっていますが、こと、着るものに関しては、洋服の方が遥かに人に優しいと思う。