条件付きで20万円の支援金が支給される介護職就職支援金貸付事業
厚生労働省が「介護福祉業界に入りませんか?」とメッセージを送っている。
新型コロナウイルスの感染拡大もあり、製造、飲食、観光、宿泊、小売、流通産業から多くの失業者、休業者が出ている。
未だに感染拡大は収まっていないため、今後も当面の間、これらの産業では経済状況が好転していかないか、あるいは不安定さを増していくだろう。
その一方で、新型コロナウイルスによる感染拡大でも、失業や休業が極めて少ない業界がある。
まさにエッセンシャルワーク(社会生活を営むうえで必要不可欠な仕事)として再評価される介護福祉業界だ。
厚生労働省は失業や休業対策として、転職支援に動き始めている。
10月19日の福祉新聞によれば、以下の通り、厚生労働省が来年度「介護職就職支援金貸付事業」を創設する。
厚生労働省は来年度から、未経験者が福祉分野に就職すると20万円の支援金を支払う新たな制度を創設する。
2年間現場で働くことなどの条件を満たせば返済を免除。
新型コロナウイルス感染症の影響で失業者が増える中、福祉職場を受け皿として参入を促進する狙いがあるという。
厚労省が創設する「介護職就職支援金貸付事業」は、福祉の未経験者や無資格者がハローワークを通じた職業訓練などにおいて介護職員初任者研修を受講し、高齢や障害分野に就職することなどが条件。
訓練費用も無料で、受講中は雇用保険を受給できない人でも月10万円の給付金が出る。
研修中には職場体験も行い、福祉施設には訓練委託費を1人当たり1万円上乗せする。
そのため、求職者と施設双方にメリットがあるという。
その後、就職が決まると、求職者に就職支援金として20万円を支給。2年間現場で働くと返済を免除する。
一時金支給とはいえ、これまでにない制度の創設であり、給付付き職業訓練も実施しながら、介護職養成に力を入れる。
つまり、国も重要な意味がある仕事だと再認識して制度拡充に努めている産業だ。
他の国でも国策として、ある産業にテコ入れをして経済活動や社会活動を支える仕組みがあるが、日本では介護福祉が今後大事な産業になっていく。
いうまでもなく、超高齢社会は進展し続け、介護需要は今後も増大し続けるからだ。
厚生労働省はすでに離職中の介護経験者を職場に戻す制度も実施している。何とか人手を増やそうと必死な様子が見て取れる。
可能な方は介護福祉の現場に40万円を支給してもらい、復職も検討して欲しい。
介護福祉現場の現状
そうはいっても、介護職に不安や抵抗がある方もいるかもしれない。初めての方はなおさらそう思うだろう。
厚生労働省の資料に基づき、介護福祉労働の現状を簡単に説明しておきたい。
厚生労働省(2017)によれば、2000年の介護保険制度の施行後、要介護(要支援)認定者数は増加しており、サービス量の増加に伴い介護職員数も15年間で約3.3倍に増加している。
介護職員の就業形態は、非正規職員に大きく依存している。
介護職員の年齢構成は、介護職員(施設等)については、30~49歳が主流となっているが、訪問介護員においては、60歳以上が約3割を占めている。
男女別に見ると、介護職員(施設等)、訪問介護員いずれも女性の比率が高く、男性については40歳未満が主流であるが、女性については40歳以上の割合がいずれの職種も過半数を占めている。
介護分野の有効求人倍率は、依然として高い水準にあり、全産業より高い水準で推移している。
介護職員の離職率は低下傾向にあるが、産業計と比べて、やや高い水準となっている。
つまり、介護職員は増え続けていて、施設職員は若手も多い。
ホームヘルパーは高齢労働者も多く、解釈によっては、一度経験すれば生涯働くことも困難ではないともいえる。
また介護職は典型的な女性職場と言ってもいい。職員の女性比率が高い。
常に求人しているが、一時期より離職率は低下傾向でもある。
介護福祉業界で働く際は必ず労働組合加入を
正直なところ、介護福祉職は厚生労働省の支援などの希望もあるが、賃金は業務と比べて高いわけではない。
産業別に見ても、未だに課題が多くある。今日も労働組合が厚生労働省に処遇改善を申し立てている。
継続的に介護福祉労働者がまとまって職場の働きやすさ、賃金の引き上げを求めていかなければならない。
そのためにも介護・保育ユニオンや全国福祉保育労働組合などの業界で働く人たちが集まる労働組合に加入しながら、相互交流をしていきたい。
職場によってはひどい労働条件で働かされる施設もある。
労働組合員同士でそれらの情報を共有し、少しでも処遇が良い職場に転職する人が増えれば、状況も変わってくるだろう。
団体交渉をしながら、労働組合員の条件を改善する取り組みも行っている。
これから介護福祉業界で働いてみよう、と思う人も増えることだろう。
その際は併せて、自分に合う仲間がいる労働組合への参加も検討して欲しいし、その仲間たちと交流しながら新しい職場でも奮闘いただきたい。
yahoo japanニュースより
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