iPhone狂想曲と最低賃金狂奏曲 | ジャカルタ駐在アラサー男子

ジャカルタ駐在アラサー男子

2011年6月末で会社を辞めて、2011年7月中旬より、インドネシアのジャカルタの会社に就職することとなりました。さらに2012年8月に結婚、新婚生活を始めました。

ついにインドネシアでもiPhone 4Sが発売されました。

スティーブ・ジョブズの死からそろそろ半年が経ちますので、ようやっと、という感じです。

本当にもぉ待ちくたびれました。

市場から旧型のiPhone4が消えたのも昨年の9月以前だったように思います。

それからずーっとiPhoneを手にしたくても手に出来ない時間が続いて、この1/27(金)にガンダリアシティでのイベントを皮切りに販売がスタートしました。

もちろん世界同時発売からはとっくに、いつまで待たせるんだコノヤローと言いたいぐらいの時間が経っており、また先日のスラバヤ出張の際にガラケーを紛失する大失態を犯してしまっておりますので初日に手に入れたかったのですが、残念なことに発売初日は仕事、そりゃそうですよ金曜日ですからシコシコと経済を動かすわれわれ一般市民階級は労働に勤しんでおりました。

ブカシ県を除いて。。。

この日、ブカシではウン万人規模の労働者デモが発生しました。

朝4時ごろからデモ隊がブカシの工業団地に集結し始め、午前中に高速道路を封鎖完了、そして工業団地内を暴走族さながら旗を立ててバイクをふかしながら走りまくり、時には工場の門を蹴破り、とデモ活動を行ったとのことです。

何でそんな事態になったのでしょうか、それはブカシ県の稚拙な行政判断にあります。

昨年、インドネシアでは各地域の最低賃金を見直す動きがあり、各地域の地方政府とも経済成長率や物価高騰率などを勘案し、大幅な最低賃金の引き上げを行政決定しました。

その中でもひときわ大幅な引き上げを決定したのがブカシ県でした。

ブカシ県はいまやジャカルタに最も近い工業団地をいくつも有するインドネシアの産業の拠点となっている県です。

ジャカルタ市内からバンドゥンに伸びる高速道路の沿線に日系商社各社がそれぞれ投資している工業団地があります。

そのブカシ県が、あまりにも高い最低賃金引上げを決定したのを受けて、当然経営者側としては実態を超える引き上げは企業経営にとってマイナス要因となりますので抵抗をします。

経営者連合は裁判所にこの最低賃金引き上げ決定の無効化を求める裁判を起こし、この騒動の前日26日に判決が出ました。
ブカシ県の決定は無効である、と。

そうなると一度喜んだ労働者は顔を真っ赤にして怒るわけです。
そりゃそうでしょ、たくさんお金がもらえますよ、といった地方政府の決定を取り消されたんですから。

そうして急遽27日、市場まれに見る大騒乱が起こったのです。

もちろん工業団地内の操業はストップ、道路もバリケードが敷かれて動けず高速道路を中心に完全に麻痺、それが夕方まで続きました。

結局経営者側が折れる形で今回の騒動に一応の終止符を打ったのですが、この件によりブカシ県は赤っ恥を世界に示してしまいました。

そして日本をはじめインドネシア市場のポテンシャルに期待し、投資を加速させようという動きが進んでいる中での今回の出来事、マイナスに働くことはあってもプラスに働くとは到底考えられません。

そもそも各企業がインドネシアに進出する理由は割安で巨大な労働者市場というものと近年の政治的、社会的安定であり、人海戦術型の工場運営をしている各企業では最低賃金の大幅な引き上げとこのような事件はこの国の労働者市場の魅力を損なうものであるのです。

ただこれはいつまでもこの国の人民が貧乏であることをよしとする意味合いではなく、もちろんこの国の人民もより豊かな生活を享受できるようになることが最適なのですが、そのためにはその豊かな生活を創出する労働の機会を損なうようなことがあってはならないのです。

話の趣意は逸れましたが、上述のような経緯で今回の残念な事件が発生した一方で、その夕方僕は上司から食事に誘われて全くデモの影響を受けないで中央ジャカルタに向かい、食事をしました。

これは本当はiPhoneをものすごく心から買いに行きたかったのに泣く泣く上司の命令とあらば致し方あるまい、特に今週の上司の置かれていた状況を考慮するとガス抜き役をここで買っておいたほうが来週に悪影響を及ぼさないであろうという狡猾的戦略でもあったわけです。

というところで以上に長く書いてしまいましたので一度ここで切ります。
つづきはまた今度。