今日は闘病とは直接関係ありませんが、「命の次に大切なおカネ」に関連するお話です。


足元の急速な円高を背景に日本株が暴落しています。

このまま円高がどんどん進行して、日本株は「奈落の底」に突き落とされてしまうのでしょうか?


私にはそうとは思えません。


一部の「専門家」が「東京市場は「逆金融相場」(金利上昇による株価下落相場)に足を踏み入れてしまった」とコメントしていましたが、それは間違いです。


そもそも、私は日銀が継続的な利上げは出来ないと考えています。

何故なら、もし追加利上げを強行すればGDP比252%の日本国債に金利が付いてしまうからです。

3月末時点の「国の借金」は、約1300兆円にも上ります。

1%の金利上昇で約13兆円もの国債の利払つまり財政支出が増加します。

消費増税でこれを賄うには最低でも6%増税しなければなりません。

これだけ巨額に膨らんでしまった借金を税収だけで返済するのは、もはや不可能なのです。


天文学的な金額の借金を返済できるとしたら、増税ではなく、持続的な低金利+インフレ政策により、「物価の力」(インフレ税)に頼らざるを得ません。

将来タクシーの初乗り運賃が1万円する時代が到来すれば、1300兆円を返済出来るかも知れませんが、国民生活は現在より更に厳しい状況になっているでしょう。

低金利下のインフレ政策」(物価上昇)の最大の被害者は、「年金生活者」と「銀行預金者」で、メリットを享受するのは、他でもない国内最大の債務者である「日本政府」です。


債券市場はそのあたりを心得ていて、今回、日銀の利上げに反応せず長期金利は上がっていません。

以下が日本の長期金利のチャートですが、1.1%を上限に2ヶ月も金利は上がっていないのです。むしろ株価急落を受け急低下してます。

したがって、日銀の利上げ(金利上昇)が株価暴落の「犯人」ではありません。

ただ、会合後の日銀植田総裁の会見が想定以上に「タカ派」であったため、海外投資家を中心に「金利先高感」が台頭、「日米金融政策の方向性の違い」も意識され日本株への投資意欲が急速に減退したことは間違いありませんが。


特に8月2日の米雇用統計における失業率の想定外の上昇を受け、市場は急遽、米国の高金利政策に起因する「米国を震源とする世界的な景気後退リスク」に身構え始めました。


もともと日本経済の足元の景気は良くありませんでした。

最大の原因は個人消費の減速であり、過度な円安による輸入物価インフレが引き起こしていることは明らかであり、植田総裁としては、本当は利上げしたくなかったけれど、これ以上の投機的な円安進行を食い止めるよう政府から圧力をかけられ、苦渋の決断を強いられたというのが舞台裏でしょう。

「日銀の利上げ」発表がタイミング悪く「米国景気後退懸念の台頭」とほぼ同時だったので、ダブルパンチで株価下落に拍車がかかってしまったのです。


しかし、今後の見通しについては、悲観一色ではありません。


今回の下落がリーマンショック級の株価大暴落に発展する可能性は低いと考えています。

理由は主に3つあり、まず「バブル崩壊」と「金融システム危機」の有無です。

3つ目は「米国大統領選挙」です。


日米とも株価が期待先行で割高水準まで買い進められただけで、特段何かのバブルが弾けたわけではありません。


金融システムも米国の地銀が金利上昇による保有債券含み損に苦しんでいましたが、大手銀行が連鎖破綻するような状況ではありませんし、米国は9月に利下げするので、鎮静化するでしょう。

日本のメガバンクにいたっては軒並み最高益を更新しそうな好決算です。

金融市場が最も毀損される「金融システム危機」(銀行の連鎖破綻)の心配はありません。


そして何よりも今年は11月に米国大統領選挙があります。

このままアメリカ経済が減速し、トランプ氏がそれを引き継ぐなら、彼が景気刺激策を行わないはずがありません。


もしトランプ氏が経済成長に向けた景気対策を打ち出せば、ドル円も日経平均も2016年の値動きの再現となる可能性が高いと思われます。

なお、今日の日経平均の大幅反発は、売られ過ぎによる自律反発の買い戻しに過ぎず、この局面での「買い出動」はまだ危険です。

リーマンショック級の大暴落になる可能性は低いものの、今秋は「短期波乱相場」が待ち構えている可能性が高いです。

自律反発が一巡後、今後公表される米国経済指標は景気後退を示唆するものが増えてくる可能性が高く、乱高下しながら二番底を試す再下落局面が来たときに、昨日の安値31156円を維持するか否かを確認してからでも遅くはありません。

特に来月9月6日(金)の米雇用統計は要注意です。

もし、失業率が4.5%(8月4.3%)以上に悪化すれば、暴落が再来するリスクは否定できません。

米中央銀行(FRB)が緊急利下げ(−0.25 %⇨−0.5%)に転じれば、ドル円も140円を割り込むでしょう。

そうなれば、海外投機筋が突如として日本の個人投資家(特に投資初心者🔰)の「投げ売り」を誘発すべく、資金力にモノを言わせ先物主導で短期売り浴びせを仕掛け、日経平均3万円割れを試す「過去繰り返されてきたパターン」(日本の個人投資家を狙い撃ちした短期暴落相場)の再演が懸念されます。

特に今年の東京市場にはNISAによる投資初心者のニューマネーが大量に流入していることから、海外投機筋は、虎視眈々と日本の個人投資家を「振り落とそう」と揺さぶりをかけて一儲けを狙ってくるでしょう。

暴落相場を演出して、「売りが売りを呼ぶ」展開に誘導し、投げ売りが出尽くしたタイミングを見計らい、突然の強烈な反転買い戻しで損切りした投資家を置き去りにする彼らの常套手段に身構えておくべき局面との認識です。

いずれにしても今秋はシートベルトをしっかり締めて、臨むべき相場展開となるでしょう。


引き続き世界情勢(ウクライナ戦争、中東問題、中国景気減速など)は混沌としており、現時点で「決め打ち」できるような状況にはありませんが、為替も株も米国大統領選挙前後のタイミングでトレンド転換(下落⇨反転上昇)する可能性が高いと考え、足元の金融市場の動向を注視し始めた今日この頃です。