おかげさまで2024年7月に還暦を迎えることが出来ました。


腹膜播種が判明した当初の予後は「週単位」にならざるを得ないと覚悟した時期もあったことを踏まえれば、やはり感慨深いものがあります。


誕生日前に自宅宛に30年間勤務していた前勤務先企業の年金基金事務局より、「企業年金給付裁定請求書」などの書類一式が送られて来ました。

企業年金の受け取り方には「年金」と「一時金」があり、給付時期・方法や手続きは、加入する企業年金の種類や企業のルールによって異なるとの認識でしたが、「一時金」で受け取るための書類がどうしても見当たりません。

そこで、年金基金事務局に電話で問い合わせてみることにしました。

応対にでた職員から、「えっ、一時金でですか?」、「全部ですか?」と怪訝な声色で念押しされました。

がんに罹患した事情を説明したところ、ようやく納得して頂き、一時金で受け取るための書類を追送して頂きました。


がん患者、特にステージ4の患者にとって、「早死にリスク」と「長生きリスク」を睨んで、年金をどうするかというのは悩ましい問題です。


私の場合は、やはり「早死にリスク」の方が大きいと判断せざるを得ず、結局一時金で全額受け取る事にしました。


前職の銀行員生活30年間のうち最後の6年間は、個人投資家向けにテクニカル・アナリストとして投資運用商品を運用提案する営業部隊を率いて陣頭指揮を執る立場にあったので、企業年金が保証する「予定利率」(加入者に保証する将来の運用利回り)を上回るパフォーマンスを実現すること自体は、それほど困難なことではないと考えていました。

在職中は「お客さまのため」に鋭意研鑽を積んできた知識や経験を今度は「残される家族のため」に活用する局面が到来したと受け止めています。

このお金の少なくとも半分は、私のものではなく、私が死亡した後の妻の大切な生活(老後)資金になるので、一時金の半分(5割)は安全性を重視して物価連動国債など「安定運用」へ割り振る予定です。

残りのうち3割は「パッシブ運用」( 日経平均やS&P500などの指数ETFに投資)、2割は「アクティブ運用」(個別株投資など積極的運用)に時間分散で段階的に割り振り、配当金収入などは今後更なる増加が見込まれる医療費の一部に充当出来ればと考えています。


資産運用は本来「長期投資」が基本ですが、ステージ4のがん患者には残された時間に限りがあるので、金融市場動向に即応し数ヶ月以内に決着のつく「スイング・トレード」も退職後のブランクで鈍った投資勘が戻ってきたら挑戦してみるかも知れません。


また、制度発足当初から20年以上積み立ててきた確定拠出型年金(旧401k⇨現ideco)については、2022年5月より加入年齢が「60歳まで」から「65歳まで」に延長されました。 

年金を一時金で受け取ると退職所得として課税されますが、掛金の積立が65歳になるまでできるようになったので、こちらは当面そのまま続けてみることにしました。


当初はideco も60歳で全額解約しようと考えていたので、7月中旬時点で天井感を漂わせていた国内外の株式ファンドを全て期間1ヶ月の円定期預金にスイッチングしていたので、結果として8月の世界同時株安に巻き込まれずにすみました。