初診から7ヶ月経った2023年11月、私は再び東京の病院に向かいました。
この7ヶ月間は私にとってとても長かったです。手術するという方針は決まったものの具体的な手術日は未定ですし、長年の間、懸案を放置し先送りしてきてしまった後悔と、こうして過ごしている間にも一日また一日と歳をとっていく現実に不安を抱えていました。
◇ ◇ ◇
前回と同じように待合の椅子に腰掛けていると私の番号が呼ばれました。
今回は手術の予約をします。会社とも手術で休む日程は調整済みです。
「失礼します」
「前回は…手術するかどうかっていうところだったんだっけ?」
「はい。手術を受けたいと思います」
手術の予約はすんなり入れてもらえました。
手術するにあたっていくつか確認しておきたいことがあったので質問しました。
「形はなだらか、なめらかに平らになりますか?」
まず、鳩尾の部分は4cm上がるとして全体的になだらかになるのか(凸凹が残らないか)という点。これは問題ないそうです。バーを入れると平らより少し上がって、バーを抜くと平らになるそうです。
「スタビライザーを使うんですよね?」
「スタビライザーは真ん中のバーの右側に使う、だからその箇所のみ傷が2.5cmになる」
私の胸の形状上、バーを支える部分(長さ)が小さく、両側のバーの出っ張りは目立つそうです。まあ3年間は我慢しましょう。
「肋軟骨は切開するんですよね?」
「肋軟骨は切開する。肋骨切開はしなくても大丈夫だと思う」
「バーを入れたところの上の皮膚の感覚がなくなると聞きましたが?」
「あまり聞かないな。感覚が鈍くなることはあるかもしれない。施設によっては1箇所を大きく切って手術するから、その分組織が大きく傷つけられる。だからそういうことが起こる。ここでは必要最小限の傷で手術する。うちはそういう方針なんで」
私が病院を決めるときに重視したのは、漏斗胸の手術の実績・経験が十分であることはもちろんこと、なるべく体に負担をかけず、目立つ傷(特に前胸部)を残さず手術できることでした。整容性の改善が手術の主な目的である私にとって、せっかく漏斗胸が直っても目立つ傷が残ってしまったら意味がありませんから。
「今日バーのサイズ決めちゃいましょう。次回は術前検査に来てもらいます。そのときに型合わせをします」
この日は黒のマジックで胸にたくさんマーキングをされて帰りました。
この日も猫さんがいました。