連休の中日。天気は上々、絶好のお出かけ日和だ。こんな日は家に閉じこもっているなんてもったいない。
昼過ぎ、軽く食事を済ませてから、ふと「お散歩でも行こうかな」と思った。でも、せっかくの連休なのに、ただの散歩じゃつまらない。何か、いつもと違うことをしたい。
そこで思いついたのが、サイクリングだ。
実家に住んでいた頃は、毎日のように自転車に乗っていた。通学はもちろん、ちょっとした買い物や友達との待ち合わせにも、自転車は欠かせない足だった。
でも、今の家に引っ越してきてからは、ほとんど乗る機会がなくなってしまった。最後に乗ったのはいつだったか、記憶が曖昧なくらいだ。
倉庫に眠っている自転車のことを思い出し、引っ張り出してみることにした。
久しぶりに見る愛車は、少し埃をかぶっていたけれど、まだまだ現役で乗れそうだ。タイヤに空気を入れて、軽く拭いてやると、たちまち輝きを取り戻した。
さあ、出発だ。
自転車にまたがるのは、本当に久しぶりだった。ちゃんと乗れるかな、と少し不安もあったけれど、そんな心配は無用だった。
ペダルを漕ぎ出すと、体が自然に反応する。まるで、ずっと乗り続けていたかのように、スムーズに走り出すことができた。
自転車に乗る感覚、風を切って走る爽快感。どれもこれも、懐かしい記憶として体の中に残っていた。
近所を軽く走るだけのつもりだったけれど、あまりの気持ちよさに、ついつい足を伸ばしてしまう。
田んぼのあぜ道を走り抜け、小川沿いのサイクリングロードを走る。
景色はどんどん変わっていく。
田んぼには、稲の緑が広がっている。
小川のほとりには、菜の花が咲き誇っている。
空には、白い雲がゆっくりと流れていく。
風が、頬を撫でていく。
その風は、冬の寒さを少しだけ和らげてくれているようだった。
「やっぱり、自転車に乗るのは気持ちいいな」
改めて、そう思った。
遠出するつもりで、わざわざ自転車を倉庫から引っ張り出してきたのに、結局、軽く近所を流しただけで帰宅してしまったけれど、それでも十分満足だった。
自転車に乗る楽しさを、改めて思い出すことができたから。
早く春になって、もっと暖かくなったら、今度はもっと遠くまでサイクリングに行きたい。
そう思いながら、自転車を倉庫に片付けた。
春が待ち遠しい。