奴のお見舞いに行った…



食事が喉を通らないと
聞いていたので…



少しでもカロリーが
捕れればと思い…



生クリームの乗った
プリンとゼリーを持って



病室で奴はひとり
俺を待っていた…



初めて見る…
奴の心底落ち込んだ顔…



開口一番…



「店長やばいっす」
「若いから早いっす」



目を真っ赤にし
やつれ疲れた顔で
淡々と話始めた…



背骨への転移は
1ヶ所では無く多数…



腹膜にも既に転移…



癌の切除は出来ない…



放射線や抗癌剤で
癌を抑える事は出来るが
癌を無くす事は出来ない



背骨の癌を放射線で
抑える事が出来なければ
下半身が動かなくなる…



抗癌剤の効き目により
抗癌剤治療は中止する



医者はあまりにも
あっさりと告げたそうだ



「先が見えました」
「死刑宣告て同じです」



奴は精一杯の
作り笑顔で…



俺はしばらく言葉が
出なかった…



奴の顔が滲む…



「たとえ万が一全身に
癌が転移しようと…
癌が無くならず残って
下半身が動かなくたって
絶対に諦めるな…」



「奥さんや母親の為に
笑顔で生き抜け」



俺はかすれた声で
やっと言葉にした…



奇跡を信じて…