① GDPは「ハードデータ」で発表は約1か月遅れ
- GDP(実質)は米国経済の最も重要なハードデータ。
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四半期ごとに発表され、速報値 → 改定値 → 確報値 の3段階。
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速報値は比較的早く出るが、実際の数字は1か月ほど遅れて確報される。
ハードデータ=実際の経済活動に基づく客観的統計
(例:雇用、GDP、工業生産、小売売上、など)
② 潜在成長率との比較が重要(米国は2%弱)
米国は長期的にみると、
- 潜在成長率:1.8〜2.0%程度
とされる(労働人口増加+生産性の伸び)。
→発表されたGDP成長率が2%を上回るかどうかが重要な判断基準
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2%超 → 経済が潜在能力以上に強い = 過熱感 → 株高だが金利上昇も
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2%未満 → 需要に弱さ → 景気減速懸念 → 株安になりやすい
③ リセッション判定(一般的にGDP2四半期連続マイナス)
市場がよく使う基準:
GDPが「前期比年率」で2四半期連続マイナス → テクニカル・リセッション
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景気後退(景気が落ち込む局面)
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企業業績が悪化しやすく、株価は調整しやすい
※ 正式にはNBER(米国経済研究所)が複数データで判断するが、市場はGDP2期連続マイナスを手軽な基準として使う。
④ GDPと株価の関係(EPSとPERの影響整理)
米国株の下落局面では、実際には EPS(企業利益)とPER(株価評価) の両方が影響します。
● EPSの平均下落幅
過去の米国では、景気後退局面で
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S&P500のEPS(1株利益)は平均 -11% 程度落ちる
→ これだけでも株価は下がる。
● PER(株価収益率)が不安で縮小すると…
例:PERが3ポイント縮小(例:18倍 → 15倍)
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株価は 約▲16〜18%下落
● 組み合わせると?
EPS -11% × PER -3倍(縮小)
→ 株価は合計で約30〜35%下落
→実際のリセッション時の株価下落幅(S&P500 -30%前後)と一致する。
⑤ GDPで特にチェックするポイント
米国GDPを見る際のポイントを整理します。
❶前期比年率(Annualized QoQ)
アメリカで最も注目される指標。
日本の「前年比」と違い、変化が大きく見える。
❷個人消費(GDPの約7割)
アメリカの景気を左右する最重要項目。
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個人消費が強い → GDPも強い
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個人消費が鈍る → リセッションが近づく
❸住宅投資
金利高の影響が出やすい。
❹在庫の増減
一時的にGDPを押し上げたり押し下げたりするので注意。
⑥ GDPが強い時・弱い時の株価への典型パターン
GDPが強い → 株価上昇 or 株価下落の両方あり
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景気が強い → 企業業績が改善 → 株は上がりやすい
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しかし、インフレや金利上昇懸念が強まる → 株は下がることも多い
(特にハイテク・グロース株は金利に敏感)
GDPが弱い → 株価は下落しやすい
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業績悪化 → EPS低下
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利益見通しが悪くなるためPERも縮小
- 二重で株価に悪影響
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