1. 経済と株価を動かす2つの政策軸
株価や景気の動向を左右する最も基本的な要素は、金融政策と財政政策の2つである。
・金融政策(中央銀行)
 中央銀行(日銀・FRB・ECBなど)が金利を引き下げると、企業や個人が借入しやすくなり、
 消費や投資が活発化する。結果として景気が刺激され、株価が上昇しやすくなる。
 逆に金利引き上げは、インフレ抑制と引き換えに景気を冷やす効果をもたらす。
・財政政策(政府)
 政府が行う公共投資(インフラ整備)や減税措置も、経済活動を直接押し上げる要因となる。
 例えば減税により可処分所得が増えれば、消費が刺激され、企業業績や株価に好影響を及ぼす。
これら2つの政策が、経済全体の「資金の流れ」と「需要」をコントロールしている。

2. M2(マネーサプライ)とは何か
「M2(マネーサプライ)」とは、世の中に実際に出回っているお金の総量を指す。
現金通貨に加え、銀行預金など人々が自由に使える資金を含む。
この数値が増えるほど、経済活動の“血流”が活発になっていることを意味する。

3. 各国のマネー供給の仕組みの違い
・アメリカ・中国の場合
 金融政策(中央銀行による資金供給)と財政政策(政府支出)を同時に拡大する傾向がある。
 そのため、中央銀行がマネタリーベースを増やすと、実際に市中のお金(M2)も増加しやすい。
 → 「お金を刷る → 世の中に回る → 景気拡大 → 株高」という循環が成立。
・日本の場合
 日銀は金融緩和(お金を供給)しているが、政府による財政出動(支出拡大)は抑制的である。
 その結果、銀行の手元には資金が増えても、実体経済に流れ込まないという現象が起きている。
 → 「お金を刷っても使われない → M2が増えない → 景気が動かない」という構造。

4. まとめ:マネーサプライが示す“景気の血流”
[アメリカ型]
金融緩和 + 財政拡張 → M2増 → 景気刺激 → 株価上昇
[日本型]
金融緩和のみ → M2停滞 → 景気停滞 → 株価反応鈍化

M2の伸び率は、経済の“温度計”でもある。
マネーが実際に動いているかどうかを見ることで、今後の株価トレンドの持続性を判断できる。