① 信用評価損益率(Sentiment Gauge)
定義
信用取引で保有されているポジション全体の含み損益を割合で示す指標。
→ 個人投資家の心理と、相場の過熱・冷え込みを測る上で最重要の短期指標。
読み方
・プラス圏(+):信用買い残の多くが含み益 → 市場は強気・過熱気味 → 天井圏シグナル
・マイナス圏(-):信用買い残の多くが含み損 → 市場は弱気・悲観 → 底値圏シグナル
目安レンジ
戦略例:
信用評価損益率が −15% 付近から 5%刻みで買いを分散投入 → 底値圏での逆張りが有効。
② セリングクライマックス(Selling Climax)
定義
信用取引で「追証(おいしょう)」が多発し、個人投資家の投げ売りが一気に出る局面。 需給が一時的に崩壊するが、その後の急反発を呼ぶことが多い。
特徴
・株式信用買い残が急減(10〜20%減)
・信用評価損益率が−20%以下に沈む
・出来高急増+ボラティリティ上昇(恐怖局面)
過去の典型例
ポイント:
セリングクライマックスは数年に1度訪れる。 その瞬間に「買える投資家」が、次の上昇相場をリードする。
③ バリュエーション(Valuation)
▪ 日経平均PBR(株価純資産倍率)
0.81倍付近:過去の大底水準(割安ゾーン)
例)2009年リーマンショック、2012年欧州債務危機、2020年コロナショック
→ 歴史的にこの水準ではリバウンド発生率が高い。
▪ S&P500の予想PER(株価収益率)
・27倍付近:過熱水準(バブルの兆候)
・長期平均(約17〜18倍)を明確に上回ると、調整リスク高。
④ 信用残・証拠金債務(Market Leverage)
信用残高
投資家がどれほどレバレッジを使っているかを示す。過熱時には信用残が急増。
米国の証拠金債務(Margin Debt)
前年同月比で+55%を超えると、歴史的な天井サイン(バブル圏)
例)2000年ITバブル、2021年コロナ相場のピーク期
見方:
信用残・証拠金債務の急増 =「市場の欲」
信用残・含み損率の悪化 =「市場の恐怖」
総合判断フロー
[信用評価損益率] → 投資家心理の温度を測る
↓
[信用残・証拠金債務] → 過熱 or 投げ売りの度合いを確認
↓
[バリュエーション指標(PBR/PER)] → 割高・割安を判断
↓
⇒ 総合して「過熱相場 or 底打ち局面」を判断
投資家の実践アクション
まとめ
・信用評価損益率は「個人投資家心理」を数値化する鏡。
・セリングクライマックスは「悲観が極まった買い場」。
・バブルの天井は「信用残高とPER」で察知できる。
・PBRの底値圏(0.8倍付近)は長期的な「買いのゴールデンゾーン」。


