P/L(損益計算書)とC/F(キャッシュフロー計算書)を深く理解する
① P/L(損益計算書)を読めるようにする
P/Lは「一定期間に会社がどれだけ稼いだか」を示す表です。
売上から費用を差し引き、最終的にどの程度利益が残ったかを示します。
🔹 6つの利益の段階
ポイント
・「営業利益」が企業の本業の実力を表す中心指標。
・「経常利益」は金融取引を含めた日常的な経営成果。
・「包括利益」は決算書全体の“最終バランス”を確認する際に重要。
② C/F(キャッシュフロー計算書)を読めるようにする
C/Fは「現金の出入り」を示し、実際にお金が増えているのか減っているのかを把握できます。
P/Lが「会計上の利益」を示すのに対し、C/Fは「現金の動き」を明らかにします。
🔹 営業キャッシュフロー(営業CF)の考え方
営業CFは本業で稼いだ現金の流れを表します。
ポイント
・減価償却・引当金はP/Lでは費用でも「現金支出なし」→足し戻す。
・棚卸資産・買掛金などはB/S項目で「現金が動く」→差し引く必要あり。
・この調整により、「会計上の利益」→「実際のキャッシュ収支」に変換する。
🔹 営業CFの整理(3つの視点)
🔹 営業CFの「健全度」レベル
分析ポイント
・P/LとC/Fをセットで見る
→利益が増えても営業CFがマイナスなら「売掛金・在庫増」に要注意。
→利益が少なくても営業CFがプラスなら「堅実なキャッシュ経営」。
・減価償却費は“キャッシュ創出力”の裏指標
→設備産業では、営業CF − 減価償却費がプラスなら事業余力がある。
・C/F分析は“現金経営”の実力を見る鏡 →会計上の利益よりも、「現金をどれだけ残せるか」が経営の本質。
利益が現金に変わるプロセス(利益 → 調整項目 → 営業CF)
【P/L(損益計算書)】
│
├─ 売上高 − 費用 = 当期純利益(会計上の利益)
│
└→ この利益はまだ「会計上」のもので、 実際の現金の増減とは異なる
↓
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【C/F(キャッシュフロー計算書)への変換】
│
├─ ステップ①:お金を伴わない費用を足す(+)
│ ・減価償却費
│ ・引当金の増加 など
│ → 現金は減っていないのにP/L上は費用計上されているため、 実際のキャッシュに足し戻す
│
├─ ステップ②:お金を伴う資産・負債変化を引く(−)
│ ・売掛金の増加(未回収が増えて現金減)
│ ・棚卸資産の増加(在庫仕入れで現金減)
│ ・買掛金の減少(支払いで現金減)
│ → B/Sの変化による現金支出を反映
│
├─ ステップ③:その他の調整
│ ・利息や配当金などを「発生主義→現金主義」に修正
↓
───────────────────────【営業キャッシュフロー(営業CF)】
│
├─ 当期純利益
│ + 非現金費用(減価償却・引当金)
│ − 資産増加・負債減少分
│ ± その他調整項目
│
└→ 「会計上の利益」から「現金ベースの利益」へ変換完了
↓
───────────────────────【結果】
営業CFがプラスなら → 本業で現金を生み出せている
営業CFがマイナスなら → 在庫・売掛金・投資負担などを点検すべき



