いのちをいただく
内田 美智子 (著), 諸江 和美 (イラスト), 佐藤 剛史 (監修)
小学生のしのぶ君のお父さんは食肉加工の会社で働いています。
しのぶ君は、ある日学校でお父さんの仕事について発表をします。
でも、しのぶ君は、毎日牛の血にまみれてしまうおとうさんの仕事についてカッコいいとは思っていませんでした。
その発表を聞いていたしのぶ君のお父さんは、
「やっぱりなあ」と思って仕事をやめようかと思います。
しかし、その日の学校の帰り際、先生から、いかにお父さんのお仕事がみんなの役に立っているかを教えられ、しのぶ君はお父さんのお仕事に興味を持つようになります。
家に帰ったしのぶ君は、「お父さんはすごい仕事をしてるんだね」とお父さんに声をかけます。
そして、お父さんは、もう少しこの仕事を続けてもいいかなと思いました。
ある日、しのぶ君のお父さんの会社に、一頭の牛がトラックで運ばれてきました。
「お?明日の牛だな」とお父さんは思います。
そのトラックから、10歳くらいの小さな女の子が出てきて、
牛のそばに行くと、小さな声で牛に話しかけています。
牛のそばは危ないからと気になって女の子に近づいたしのぶ君のお父さんは
「みいちゃん、ごめんね。」
「みいちゃん、ごめんね。」
と、牛にお別れを言っている女の子の声を聞いてしまいます。
「聞かなければよかった・・・」しのぶ君のお父さんは思いました。
■ムスメが食事を残さなくなりました
この絵本の帯に、
「朗読を聴いて、うちのムスメが食事を残さなくなりました」と書いてありました。
いわゆる食育のための絵本ですが、事実に基づく内容に心を揺さぶられます。
普段何気なく食べている肉ですが、牛の命と、牛を大切に育てた人、そして毎日牛を殺し、捌いて食肉にしてくれるひとがいて初めて私たちは肉を食べることができます。
考えれば分かることですが、こうやって物語を聞かされると、
「いただきます」
という言葉が、絵本のタイトル通り、いのちをいただくことなんだということに気がつきます。
楽しく食事をすることは大切ですが、たまには、目の前の食事の向こう側に想いを馳せながら「いただきます」って言ってみるのもいいかもしれませんね。
