ユーグレナはパラミロン以外にもたくさんの栄養素を含んでいる。日本食品分析センターなどによると、ビタミン群(ビタ ミンB1、B2など)のほかにもミネラル(亜鉛、リン、カルシウム、マグネシウムなど)やアミノ酸(グルタミン酸、ロイ シンなど)、不飽和脂肪酸(DHA=ドコサヘキサエン酸、EPA=エイコサペンタエン酸=など)など、人間が体外から摂取すべき栄養素のほとんどすべてを含んでいると言われている。
しかも、野菜より消化されやすく、内部の栄養素を効率的に体内に取り込むことが可能だ。錠剤のほか、クッキーやパスタ などに加工して摂取することもできる。魚や野菜を中心とした和食より肉食傾向が強くなってきた現代人にとって、ユーグレ ナの果たす役割は大きくなってきているようだ。
さらに、CO2の抑制など環境面でも活用できる。CO2の吸収能力に優れ、その濃度が高くなるほど成長スピードが上が るという特徴があるからだ。 大量のCO2を含む火力発電所の排ガスを利用して、ユーグレナを大量培養できることが、既に実証されている。また、化 学処理するとバイオ燃料になることも実験で明らかになった。このため、ユーグレナからバイオ燃料を生み出し、それを燃焼 した排ガスでさらに大量培養する――というサイクルを作り出すことも可能という。
中野氏は「ユーグレナが普及すれば、食糧問題と環境問題の両方を同時に解決できる。世界的な食糧危機の到来が予想され ている。ユーグレナが重要な役割を果たす時代は、そう遠からずやってくるはずだ」と期待している。
ユーグレナのミドリムシ