15日、欧州中央銀行(ECB)など日米欧主要中銀がドル資金供給で協調する方針を示したことで、一旦ユーロ買いに弾みがついた。だが、16日のニューヨーク市場では再び、ユーロ売りが優勢となった。欧州当局者の対応はユーロ圏債務危機の解決に不十分との見方から、ギリシャのデフォルト(債務不履行)をめぐる懸念が高まった。

 今回、ガイトナー米財務長官は欧州連合(EU)財務相非公式理事会に出席し、債務危機への対応力を高めるため、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の融資能力拡大を提案したが、具体的な手段についての合意は得られなかった。EU側の反応は冷ややかで、ユーロ圏財務相の間には、米国が政策に口出しすることに対して不快のようだ。

フェクター・オーストリア財務相は会合後、記者団に対し「ガイトナー長官はわれわれに対し、システム全体を困難な状況に陥れないために資金を確約するよう、熱心に訴えた」としたうえで、「米国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に関するデータはユーロ圏と比べてかなり悪いにもかかわらず、米国がわれわれに対し何をするべきか、いつ提案するべきかについて提言するのは、奇妙なことのように思える」と述べた。

 市場では、今回の会合でも新たな対応策が出ず、この先もギリシャの債務不履行が避けられるのか。深刻な金融危機になるのを防げるのか。会合の記者会見で、欧州委員会のレーン委員は「あとはギリシャの政治的意思と能力にかかっている」と発言。ギリシャ支援に反発を示している加盟国に配慮した。

景気悪化で、ギリシャの今年の経済成長率はマイナス5.3%になるとの見方が有力。財政赤字は減らず、いくらお金を貸しても無駄ではないか。そんな不安が市場に広まった。支援も時間稼ぎしかなく、有効な対応策が打ち出されなければ、支援する側の余力と気力が削がれることが、最大のリスクとなろう。

深刻化する財政危機は、金融不安へと変わりつつある。ギリシャなど南欧諸国の国債を多く持っている銀行が巨額の損失を被り、経営が危なくなるとの見方が出ているためだ。

 19日、東京市場は休場だ。市場参加者が減少している中、仕掛的な動きがユーロを中心にあるかも知れないので、注意したい。

一方、ギリシャ問題についての懸念は残るものの、一応一山越えたとの見方が広まれば、20-21日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)に焦点が移るだろう。今月、バーナンキFRB議長は講演で、8月末の内容とほぼ同じことを語った。FOMCメンバーの中には、追加緩和策について否定的な考え方の者がいる。今回、メンバー間で、現在の米経済の状況について、判断するのだろうか。

また、今後の金融政策の見通しについてどう予測しているのだろうか。市場では景気下支えのために何らかの債券市場への介入措置を打ち出すとの声が多い。ただ、欧州で債務問題が続く一方、FRBが量的緩和第3弾(QE3)に踏み切る公算は小さいとして、ユーロは引き続き圧迫され、ドルは下落局面で押し目買いが入るのではないかと声もある。

いずれにしても、ユーロ売り圧力がかかりやすい状況が続く中、FOMCの結果を見極めたいとの憶測から、方向感のつかみにくい展開になるかも知れない。

相場は生き物、いつ、何時、動き出すか、分からないので、ポジション管理には注意したい。

では、良い休日を。