おはようございます。今週もよろしくお願いします。

テーマ、その1<一時的な軟化局面か?>

7日、企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)子会社などが発表した6月の全米雇用報告で、民間部門雇用者数は15万7000人増と、予想(6万8000人増)を大幅に上回った。この結果を受け、8日発表予定の米雇用統計について、幾分楽観的な見方が広まった。

しかし、8日、米労働省が発表した6月雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比1万8000人増と、予想(10万5000人増)を大幅に下回った。増加数は9カ月ぶりの低水準となり、米経済が下半期に盛り返すとの期待を大幅に後退させる結果となった。

市場では、米連邦準備理事会(FRB)の政策が保留されるとの見方がある。ただ、2010年夏のようにデフレリスクに直面しているわけではないため、大規模な資産買い入れ第3弾の可能性は低く、高めるものではない。また、米景気はソフトパッチ(一時的な軟化局面)入りしており、軟化局面の脱却は遠く、自動車生産の大幅な改善が期待される7月の統計まで待つ必要があるとの指摘もある。

とりわけ失業率が9.2%に悪化したことで、今回の統計は米景気が安定的な回復からは程遠いということが明らかにとなり、民間部門ではマイナスとなったのが3業種にとどまっていることから、大規模な人員削減の結果ではなく、雇用が滞っている状況を示している。企業が前向きな採用計画を進めている兆候を示していない。

 改善の兆しが一向に見えてこない雇用指標の結果を受け、米連邦準備理事会(FRB)が来年にかけて低金利政策が続くとの見方が強まった。また、今週は、前週末の米雇用統計の影響を受けるとみられ、米連邦債務上限の引き上げをめぐる与野党の協議で明確な進展の兆しがないことから、為替市場ではドル売り圧力がかかりやすいとの声がある。

 そうした中、指標では、12日に英6月小売物価指数、英6月消費者物価指数、米FOMC議事録(6月21日、22日分)、13日に中国4-6月期実質GDPや中国主要指標(小売売上高、鉱工業生産)、英6月失業率、(6月)、14日(木)NZ・1-3月期GDP、ユーロ圏6月消費者物価指数、米6月小売売上高、米6月生産者物価指数、7/8週終了時米新規失業保険申請件数、15日に米7月NY連銀製造業景気指数、米6月消費者物価指数、米6月鉱工業生産や設備稼働率、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値などが発表される予定。内容次第では、ドル、ポンド、豪ドルを中心に一時値動きが荒くなることも考えられるので注意したい。

一方で、12日に日銀政策金利発表と白川日銀総裁の記者会見が予定されている。予想では金利は据え置きとの見方が優勢。また、白川日銀総裁の会見で、金融政策や景気回復の先行きについての見方に注目が集まる。13日にバーナンキFRB議長が半年に一度の議会証言。6月雇用統計後の発言であるだけに関心が高い。米景気回復の先行きについてどのような見通しを示すのか注意したい。

 また、米4-6月期の企業決算が始まる。11日にアルコア、14日にグーグル、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、15日にシティグループなどが予定されている。内容次第で、株式市場への影響もあるので、注意したい。


その2<舵取りの難しさ>

9日に中国国家統計局が発表した6月消費者物価指数(CPI)は前年比6.4%上昇と、前回の5月の5.5%から上昇が加速し、3年ぶりの高水準となった。物価上昇圧力が食品やエネルギー以外にも広がりをみせ、中国人民銀行(中央銀行)が今後さらに利上げする可能性が高まった。中国人民銀行は7-9月期にもう1回利上げする必要があるかもしれないとの声が聞かれ、インフレ率が7月にさらに上昇するのではないかとの指摘もある。

6日、中国人民銀行は、政策金利の25ベーシスポイント(bp)引き上げを発表し、景気よりもインフレ抑制を優先する姿勢を示した。その3日後に発表された6月のCPIは、国際商品(コモディティ)価格が下落しても、インフレ圧力はくすぶり続ける可能性を示している。市場では、原油価格の下落に伴い、中国のインフレも今年後半に鈍化するのではないかと予想しているものの、物価圧力が食品以外に広がる兆候を注視している。

中国当局は、高い経済成長の維持とインフレ抑制との間で難しい政策のかじ取りを迫られている。当局の厳しいインフレ抑制策が景気を冷やしかねないとの懸念があり、インフレの過度な進行は社会不安をもたらす可能性がある。今後の中国当局の出方に注意したい。動向によっては、貿易関係で強い結びの豪州経済への影響も懸念される。


その3<付きまとう南欧諸国>

 8日、国際通貨基金(IMF)は理事会を開き、債務危機に陥っているギリシャ向けに、約32億ユーロの融資を承認したと発表した。第1次金融支援の第5弾として、欧州連合(EU)とともにまとめた計120億ユーロの支援策のIMF負担分。これにより、当面のデフォルト(債務不履行)を回避したことになる。ただ、厳しい財政運営は続くため、9月までに第2次金融支援策をまとめる予定だ。ラガルド新専務理事は声明で「持続可能な財政再建が必要で、深刻な政策課題は残ったままだ」とした。

 11日にはユーロ圏財務相会合が開かれる予定。欧州はここに向けてギリシャ向け第2次支援の取りまとめを目指してきたが、7日の国際金融協会(IIF)によるギリシャ政府、ユーロ圏の代表らとの会合では民間関与で結論が出ず、欧州当局者らは9月中旬までをメドに同国に対する第2次支援策のとりまとめを目指す姿勢をみせている。

 市場では、支援策の決定が先送りされたとしても、マーケットへの影響は限定的であるとの声もある。そうした中、15日に公表予定の欧州の銀行に対するストレステストに関心が集まっている。一時高まっていた欧州の銀行のドル調達圧力は一服していることから、流動性懸念に発展するような事態にはならないだろうとの声がある。

ただ、8日のユーロ圏金融・債券市場では、イタリア国債が急落。イタリア10年債利回りは5.38%に上昇し、ユーロ導入後の最高水準を更新。国内銀行セクターに対する懸念やベルルスコーニ政権をめぐる政局不安を受け、イタリアの長期的な債務持続可能性に対する懸念が高まったことが背景。

 ベルルスコーニ政権内での対立を背景に、金融市場の厚い信頼集めるトレモンティ経財相が辞任するとの観測も浮上しており、同国の財政健全化への取り組みが後退するとの懸念が高まった。借り入れコストの上昇は、高債務国のイタリアにとって致命的な状況になりかねず、市場は同国債務が持続可能かどうかに注目している。イタリアは今週、最大77億5000万ユーロの国債入札を控えている。

 ギリシャ、ポルトガルに続き、イタリアの格下げが発表されるようであれば、欧州債務危機の懸念が高まり、リスク回避的な動きが強まる可能性があるので、十分注意したい。

 しばらく、神経質な相場展開が続きそうです。思い込みは禁物。相場は、生き物、いつ、何時、動き出すのかわかりません。ポジション管理には十分注意して下さい。そして、普段の生活を大事にして下さい。

では、よい休日を。