久しぶりに猫様の事を書いてみたいと思います。最初はメインのブログで公開するつもりで書いたので、もしかしたら本文中に痕跡が残っているかもしれません。
猫様の事と言いましても、いま我が家で飼っております2匹の兄妹、ユピテルくんとユノーちゃんの事ではありません。
私が小さいころ、物心ついた頃には既に、生まれ育った香港の実家に猫さんがおりました。香港の住宅事情を考えて頂ければ分かるかと思いますが、放し飼いだけでなく、屋外で飼う事はワンちゃん猫さん関わらずほぼ不可能です。香港で屋外でワンちゃん猫さんを飼えるような戸建ての家は、郊外の方にある超高級物件か、古くから住んでいるお宅か、何れにしても全体から見たら人口の1%居るかどうかの世界です。
我が家も当然残り99%に入っているご家庭でしたから、コンドミニアム(日本風に言えばマンション)に住んでおりまして、室内で猫さんを飼っておりました。ご商売をされている方ですと、朝一緒にワンちゃんや猫さんをお店に連れて同伴出勤しておられる方も割りと見かけます。香港の街中の飲食店なんかで、突然猫さんが居たりするのはそのためでして、本当は見つかったら衛生署(正式名称は「香港政府食物環境衛生署」日本の保健所と消防署の一部権限を持った、飲食店を一括で管理し営業許可を出すお役所)に怒られるんですけどね(笑)。
その猫さん、名前を「モモ」と言いまして、日本の女の子の名前から取ったワケでは無く、ちょうど私が生まれた前後くらいにドイツ人の小説家 Michael Ende (ミヒャエル・エンデ)が書いた児童文学 Momo (邦題も同じく「モモ」)の主人公から取ったんだそうでして、何もそんな悲しい物語から名前を取らなくてもと思うのですが、物心ついた頃には既に「モモ」でしたので仕方ありません。
このモモですが非常に気分屋でして、気分が乗らないと全然動かない。逆に気分が乗ると、いつまでも遊んでいようとする、典型的な猫さんです(笑)。誰かに特段懐いてるとかそう言う事も無く、本当に気分で遊ぶ相手を決めたりする感じでして、誰かはダメとかそう言う事も無かったので、ある意味平等に人間を扱ってくれていたのかもしれません(笑)。
香港の実家には、昔からフィリピン人の家政婦さんが何人か住み込みで働いておりました。今現在でも、フィリピン人さんの家政婦さんを香港で雇おうと思ったら、月額6万円ほどで住み込みで雇えます。当時の記憶が確かだと、2万円~2万5千円くらいって言ってたような気がします。
その家政婦さんとは別に、香港の大学で学びたいと海外からやって来る留学生のホームステイも受け入れておりました。やはり、英連邦や旧英連邦だった国からの留学生が多く、うちの実家は過去にたった1人だけミャンマーからの人が居たそうですが、それ以外は全てインドとマレーシアの方でした。全員女性(家事をする事でホームステイするのは圧倒的に女性でして、男性は本来はダメなのですが労働をする事でホームステイすると言う、日本で言うと新聞奨学生のような形式の方が多かったようです。)でして、食住を賄ってあげる代わりに家事を手伝うような感じです。
私が KeyStage2 日本の学校で言えば小学校中学年くらいの時に、ある女性が留学生として香港の実家にホームステイにやってきました。インドの随分と地方からの出身の方で、名前は仮に「ナタリア」としておきます。
ナタリア、真面目なんですが要領が悪く、しょっちゅうフィリピン人の家政婦さんに怒られておりました(笑)。その度に、嫌がるモモちゃんを無理やり抱いて部屋に帰って行きまして、そのうちモモちゃんも諦めたのか、ナタリアが怒られているとモモちゃんからナタリアに寄って行くようになり、もしかしたら出来の悪いナタリアを自分より格下だと思って母性本能が働いていたのかもしれません(笑)。
ある日、モモちゃんがナタリアの周りをあまりにもウロウロするので、ナタリアも気をつけていたのですが尻尾を踏んでしまいまして、今まで聞いた事が無いような声で激しく鳴き喚き、すごい勢いで走り回るので他の家政婦さんが毛布で包んで捕まえ、私も一緒に動物病院へ連れて行きますと、なんと尻尾の骨折でした(汗)。レントゲンに、キッチリ骨折した尻尾が写っておりました。いや、割りとよくあるんだそうです。尻尾をテーピングでグルグル巻きにされ、動物病院から帰ったモモちゃんは、そのままナタリアのところに行ってまた頬ずりしたりしてまして、まるで「お前は悪く無いんだよ」って言ってるかのようでした。やっぱり、出来の悪いナタリアを自分より格下だと思って母性本能が……、以下略(笑)。
それでもナタリアも頑張りまして無事大学を卒業し、インド資本の香港にある会社に就職し我が家を去って行きました。要領は悪いのですがお勉強は非常に優秀だったため、大学での成績も優秀で、就職とかそう言うのは問題無かったようです。当時は非常に景気が良かったのも、理由にはあるかもしれませんが。
ナタリアとは随分仲良しだったモモちゃんですが、ナタリアが去ってからは以前のモモちゃんに戻りまして、いつでも誰にも平等に別け隔てなく気分屋(笑)。それでも以前と違っていたのは、やはり歳をとったせいなのか動かずに陽の当たる場所で1日過ごす事が多くなったような気がしました。
我が家を去っていったと言いましても、狭い香港に住んでおりますので街中で会う事もあるし、何かあればよく香港の実家にも来ておりました。そして、ナタリアが来るとやっぱりモモちゃんが寄って行き、以前のように激しくしたりする事は無くなりましたが、一緒にピタッとくっついておりました。
私が高校に入る少し前、まだ香港にいるうちにモモちゃんは天国へ旅立ちました。
亡くなる少し前からモモちゃんはもう全く動かなくなっておりまして、かごに毛布を入れてそこで寝てるだけの状態。水も流動食も、誰かが口から入れてあげないとならない感じになっておりました。
もう最後は流動食は受け付けてくれなくなり、水と溶かした栄養素みたいなのを飲ませてあげるだけになり、ある日もう口も開けられない状態になって獣医さんに来て頂いたところ「そろそろお迎えが来るでしょう。最後に、モモちゃんが好きだった物を一緒に置いてあげて下さい。安らかに眠りにつけるよう、お祈りしてあげてください」そう告げられた日、ナタリアに電話すると、仕事が終わってから香港の実家にやって来ました。
全く動けなくなったモモちゃんをナタリアが抱っこしてあげると、声で分かったのか、匂いで分かったのか、全く動く事も出来なかったモモちゃんがほんの少し目を開け、ナタリアの手を舐めたんです。それは舐めたと言うより、舌をどうにか出して触れたと言う程度でしたが、自分が居なくなっても悲しまないようにナタリアにモモちゃんから最後のお願いをしてるかのようでした。
それから1時間くらいでモモちゃんは完全に動かなくなりました。大好きだったナタリアが来るのを待ってたかのように、ナタリアに抱かれて旅立ちました。
モモちゃんが香港の実家にやって来て幸せな生活を送れたのかどうかは、猫の言葉が理解できないので正直何とも分かりません。ただ、香港の実家にやって来たことで、モモちゃんがナタリアに出会えたことが幸せだったって事だけは分かります。大好きだったナタリアに最後の瞬間を看取られて天国に行くことが出来た事は、モモちゃんにとってとっても幸せな事だったに違いありません。
なぜこんな事を思い出したのかと言いますと、いま我が家で飼っておりますユピテルくんとユノーちゃんを、昨日(6月9日)動物病院の健診に連れて行ったんです。その時に、たまたま尻尾を骨折してやって来てた猫さんがおりまして、そのレントゲン写真がモモちゃんの骨折した尻尾の写真とそっくりだったんです。
そして、ずっと忘れてたんですが、6月9日はモモちゃんの命日でした。動物病院で会った尻尾を骨折した猫さんを通して「たまには私の事も思い出して」そう、モモちゃんが言ってたような気がします。
動物病院から帰ってきて猫さん2匹を家に置いてから近所のスーパーに行き、モモちゃんが好きだったマグロの赤身を買ってきました。お寿司やお刺身の日に、1切れだけあげると喜んで食べておりました。ユピテルくんとユノーちゃんには、思いがけないご馳走の日になっちゃいましたけど「棚から牡丹餅」ならぬ「棚から赤身」みたいな(笑)。
そんな猫さんがおりましたと言うお話しでした。
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