ドル安の流れが止まりません。
ユーロや豪ドルは直近高値を更新した後、トリシェECB総裁の発言をきっかけに利食いの売りが
優勢になったものの、円は82円の前半に留まっています。
昨日の午後、櫻井財務副大臣が円高に関するコメントを求められ「為替がどう振れていくかはマーケットが決めるもの」
と発言したことが伝えられ、「市場介入はない」と読んだ投機的なドル売り円買いに、円は82円台前半まで
上昇、連日の高値更新となりました。
櫻井副大臣の発言を待つまでも無く、政府日銀は昨日の東京市場での82円台後半でも介入する姿勢は
見せませんでした。
9月15日に大規模介入に踏み切った水準を超える円高にも動かなかった政府日銀の姿勢を、市場は
「介入はしない」と判断するのはある意味自然なことです。
折から、ユーロや豪ドルが対ドルで急上昇したことで、円買いに弾みがついた格好になり82円台前半まで
上昇したと観られます。
米金融緩和観測が根強く、通貨安競争を批判する声もありますが、来月のFOMCでの政策決定までは
この流れが継続すると見ざるを得ません。
NY市場で82円11銭を記録したドル円ですが、下値はすでに80円割れか、1995年4月の79円75銭の
史上最高値しかメドがたちません。
円が上昇する度に、市場介入や量的緩和などで対処してきた政府日銀ですが、やや手詰まり感が漂ってきました。
隣家の米国から火災が発生し、それが燃え移ってきたため必死に火消しに努めても、再び隣から延焼してくる。
そんな状況です。
ここは「火の元」である米国が鎮火させないことには、火種がいつまでもくすぶり続けることになります。
米国が「これ以上のドル安は世界経済にマイナス」とのスタンスに転換しない限り現在の流れは変わりません。
ECBは事前の予想通り政策金利の据え置きを決め、理事会後に定例となっている記者会見でトリシェ総裁は、日米の
追加緩和政策とは一線を画す姿勢を見せました。
これがユーロ高を促した面はありましたが、同総裁はこのところの「ドル安ユーロ高」にも懸念を表明しています。
今年の春先から6月くらいまで続いたユーロ安で景気の底割れを回避できた経緯もあり、これ以上のユーロ高を
避けたいとの意向が見え隠れしているようです。
今夜からは為替に影響を与えそうなイベントが続きます。
米雇用統計に加え、夜半からはG7とその後にIMF総会が控えています。
今回のG7では為替問題が議題の一つであることははっきりしています。
基本的には「人民元問題」が中心と観られますが、政府日銀は各国に、円高阻止に向けた単独介入に理解を求める
意向です。
果たしてすんなりと受け入れられるのかどうか。
仮に中国が行っている為替政策と同一視されるようだと、さらに円高が進む可能性もあります。
6月のトロントでのG7では為替問題は議論されませんでした。わずか4ヵ月を経て世界は通貨戦争の
様相を呈してきました。
今回のG7は各国が自国の利益を優先する、エゴとエゴのぶつかり合いになることも予想されます。
そんな中で、新たな「通貨体制」が構築されるとは思えません。
IMFのリプスキー専務理事は「通貨戦争になっていないことを願う」と発言し、ストロスカーン同理事も
「(為替を)経済政策の武器として使うのは好ましくない」とのコメントを残し、ブラジルのマンテガ財務相に至っては
「通貨戦争は既に始まっている」と述べています。
ポジション管理をしっかりとやる必要があります。