・単位水量に起因するひび割れ
単位水量が大きい場合、コンクリートの硬化後は、余剰水が乾燥により逸散するため、乾燥収縮の大きな要因となる。(水セメント比ではない)
⇒単位水量を少なくすることで、乾燥収縮を小さくし、ひび割れを低減させる)
※乾燥しない水中コンクリートは単位水量が大きくても乾燥収縮ひび割れは生じない。
・単位セメント量に起因するひび割れ
単位セメント量が多い場合、セメントの水和熱によって、コンクリートの温度が上昇し、温度上昇に伴って、膨張、温度降下により収縮が生じる。温度変化を生じない部材に拘束されている場合、温度応力が発生し、温度ひび割れが生じる。
⇒単位セメント量を少なくすると、材料分離が生じやすくなることから、低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメンとを使用し、水和熱を抑える。
・スランプに起因するひび割れ
スランプを大きくすると単位水量が多くなり、単位セメント量も増加するため、乾燥収縮や、温度ひび割れの発生確率が大きくなる。
⇒高性能AE減水剤等の混和剤を使用する。
・粗骨材最大寸法とひび割れ寸法
粗骨材の最大寸法が大きいほど、所要のスランプを得るための単位水量は少なくてよいため、乾燥収縮が懸念される場合、施工に影響がない範囲で最大寸法を大きくする。
・コンクリートの沈下ひび割れ<初期ひび割れ>
ブリーディングによる水の上昇と、コンクリートの硬化収縮により、打設後数時間ないに沈下し、鉄筋の上部や壁と床の境目にひび割れが発生する。
⇒材料分離によって生じるため、細・粗骨材の粒度分布の適切なものを使用する。
AE減水剤、高性能AE減水剤などを使用し、単位水量をできるだけ少なくするよう配合する。混和剤を用いて、材料分離抵抗性を増大させる。
沈下ひび割れは、打設後数時間で、収束するため、ブリーディング水を取り除き、沈下箇所にコンクリートを足して均す、こて仕上げの段階でタンピングすることで修復可能。
(参考 初期ひび割れ プラスティック収縮ひび割れ:コンクリートの表面が乾燥をうけ、表面部分に乾燥収縮が生じ、ひび割れを生じる。ブリーディング水の上昇より蒸発が大きい場合に生じる タンピングにより修復可)