サブプライムローンも当初は単純な(しかし金利はやや高い)住宅ローンだった。だから個別の契約ごとに「元金はいくら、金利はいくら」と明確に算 出することが可能だった。しかし現在では証券化を繰り返した結果、もともとの住宅ローンの部分がいったいどこにあるのかがさっぱり分からなくなってしまっ た状態にある。


 ローンの支払い能力に欠ける人が、金利が上がったために支払いを滞らせるのは、こういっては語弊があることは承知しているが、よくあることだ。本来であればその人のみ破産すれば済む話であって、世界を揺るがすような問題にはならないはずなのだ。


 ところがサブプライムローンは、前述の通り「ミートホープ状態」である。だから一人がアウトになるとその証券が混じった他のすべても含めてアウトになってしまう。たとえ善良な債権であったとしても、そうでないものが混じってしまえば、同様にアウトになる。


 本当だったら、細かいルールがしっかりと定められているはずなのだが、そういうことをしっかり確認しないまま、証券化を繰り返した。ために、もうどこまで広がっているのか、把握できないような、惨たんたる有様になっているのだ。


 もはやあらゆる証券のなかに、サブプライムローンという地雷がばらまかれているようなものだ。現在ではもはや純粋な商品など存在しない。商品のな かに地雷が埋め込まれている。もしかしたら今日飲んだ牛乳にも埋め込まれているかもしれない。それが現実なのだ。純粋な商品であれば、「金利」「元本」と 分類して、おかしい部分があれば、雷管だけを抜いて爆発しないようにもできるのだが。



続く