サブプライム問題の解決方法を改めて考える

 いつまでも尾を引いているサブプライムローン問題だが、解決のためには何をすればいいのか。当コラムでも何度か俎上に上げているが、サブプライム ローンは低所得者向けの住宅ローンのことだ。信用力の低い人に最初は安い金利で貸して、住宅価格が上昇して担保余力が出た後で借り換えをするか、金利を上 げる、という仕組みだ。

 サブプライムローンがなぜこれほどまでに大きな被害を出したかと言えば、小口債券化されたからにほかならない。単なる住宅ローンとして扱われてい れば、仮に全額焦げ付いたとしても、30兆円程度で済んだはずなのだ。それが小口債権化して、優良なローンまで混ぜてさらに金利部分などを仕組み債として 世界中で売りまくった。買った方は当然「Global Equity Opportunities(ゴールドマンサックスの商品)」などという名前でしか知らないわけで、そこにサブプライムローンの金利部分が埋め込まれてい る、ということなど夢にも思っていないはずである。その拡散の仕組みを説明するために用意したのが、下の図だ。

 もともとのサブプライムローンは、この図の左上の部分だけである。銀行が住宅ローン会社に融資し、消費者はそこからお金を借りて、住宅を買う。このような極めて単純なローンである。


 ところが、住宅ローン会社は、これを証券化して、投資銀行に売る。さらに投資銀行が小口証券化してMBS(モーゲージバック証券)として売る。こ のようにして単純な住宅ローンは、ほかの証券と組み合わせたりしながら証券化を繰り返した結果、複雑な債券担保証券となり、いろいろなところに潜り込んで いく。こうなってくるとまさに肉の「ミートホープ」状態で、何がどう混ざっているのか、誰にも分からない状態だ。


 最終的には、シニア債、メザニン債、エクイティ債とリスク別に格付けして、リスクに応じて世界中の政府系ファンドやヘッジファンドに売る。日本や欧州でも、ものすごい勢いで売りまくっていたのをわたしは知っている。


続く