


ホルモン治療はホットフラッシュ、目眩、動悸などがあり、楽だったとは言い難いが、喉元過ぎれば何とやら。充実した日々を過ごし5年が終了。完治を迎えることができた
この完治までが、私の乳がん第1期。
第2期は再発してから休職し骨転移するまで。
第3期は骨転移で車いす生活となったこの1年だ。
第1期から今日まで、私が相談してきた友人たちは、がんを打ち明けた時も今も、とても思いやりに満ちた言動を取ってくれた
だが、がんを打ち明けたときに、相手の人間性が見えることがある
がんを告白した時の対応、返してくれた言葉などで、心無い言葉を無意識に放った人もいる
実は、こんなことがあった。
まだ手術後1~2年の頃、とある男性と3回目のデートをしていたときのこと。先方が「本格的に交際したい」と言ってくれた。一緒にいてそれなりに楽しい人だった
だが、「本格的な交際」を始める前に、越えなければならないハードルがあった
私は、まずはがんの治療中であること、そして子どもは望めないということを彼に伝えた。
その男性は、「それは残念だ」と、驚くほどあっさりと退散していった
子どものいる家庭を作りたかったのかもしれない。けれど世の中には、「それでも君を愛す」といった美談もある
「がん患者」という告白が、愛情の度合いを測る試金石となったようだ。
その男性とは、お付き合いを進めなくて本当によかったと思う
また、こんなこともあった。
それまで親しくしていた職場の女性の話
私がまだ治療で迷っていた時に、
「これから抗がん剤治療になるかもなの。脱毛してしまうから、医療用ウイッグを買いに行こうと思ってて・・・」と話をすると、
「カツラすっごい興味ある
ネタになるし
私も
お店に行きたいっ
」と言う。
ネタになるって。。。
ファッションウィッグとは違うので、あまりにデリカシーがない
お店には、脱毛した自分の姿を受け入れられない患者さんがいるかもしれない。だから興味本位で来ていただきたくはない
そうしたことに想像力が及ばないのか
彼女の言動はほかにも思いやりのないものが続いたので、私は心の中で、その人との友人関係を打ち切った。
がんを告白することが、自分にとって大切な人が見えるきっかけになる。
これは本当に大切にな人の縁だけを大事にしていきたいと願う私にとって、がんがもたらしてくれた思わぬ福音だ。
キャンサーズ・ギフト=「がんからの贈り物」と言う言葉があるが、がん第1期の私にとってのキャンサーズ・ギフトは、「大切な人が見えたこと」だったと思う。