捜し物をしていたら、出てきました。


30歳の頃、恋愛が破綻して、

辛くて、苦しく、自分の中でどうすることもできない思いを綴った便箋が。


日記を書く習慣がなかった私はその時、家にあった便箋に自分の気持ちを吐き出したのね。


相手はバツイチ。時間をかけて関係を育んだ大恋愛だったけれど、

結婚を考え始めた頃に青天の霹靂(へきれき)、別れ話が切り出された。

昔の奥さんとよりを戻すのなんのって。

理由は、子どもがパパを忘れない、パパがいなくなってから子どもが笑わなくなった、やっぱりパパが必要だとか。


子どもの話されたら二の句は継げない。

子どもは犠牲にできないから。

別れ話、受け入れるしかなかった。


その時の、怨み辛身(つらみ)を書いた便箋に目を通した。


相手も、ずっと眠れない日々が続いて、もう心が壊れた状態になっていた。

目を覚ましやがれコノヤローと、正気に思えなかった相手を私はひっぱたいたのね。

それまでボロボロに泣いてた相手は、

ひっぱたかれると、泣きながらヘラヘラと笑い出したんだ……



彼は泣きながら私に言った。


「あなたを好きになったことが、間違ってたの?」


……そんなこと、私に聞かないでよ」


そうとしか、その時の私は言えなかった。



今なら言える。

「そうね。間違ってたんだね」って。



うひゃー、ドラマみたい。

女にひっぱたかれて狂気を漂わせ笑う男……

綾野剛君とかハマり役そうだなぁとか、

考えちゃったりして。


思い出したよ。辛かったわぁ。

随分と痛い目に遭ってきたんだね、私。


人生で一番辛くて苦しくて哀しかった時だった。


比較するものでもないけど、歩けない身になった時は、悲しさ辛さはここまで感じてはいなかった。

歩けなくなった時は、悲しさよりも、すごく怖かったから。これからどうやって生きていくのだろうと、茫然と絶望感の中にいた。



20年前の悲しい記憶。。。

この世の終わりのような喪失感と痛みが

久々によみがえり、しばし涙を流した。


よくここまで生きてきたね、なえちん。


傷ついて、ボロボロになっても、

何度も立ち上がって、前を向いてきたね。


私だけは自分のこと、

いい子いい子してあげよう。




To be continued