体調のいいうちに(新しい抗がん剤で行動できなくなるかもしれないので)

前から行きたかったクリムト展(上野・東京都美術館)に車椅子(電動車椅子)で行ってきました。


なんと高校生以下無料ですって❗️

(こりゃ行くべし😄🤟

会場は平日にもかかわらず結構混んでいました。土日に車椅子で鑑賞するのはキビシイかなと思います。


さて、本題。

19世紀末のウィーンを代表するオーストリアの画家グスタフ・クリムト(1862-1918)。この絵(写真)は誰もが見覚えのあることでしょう。


女性の裸体、妊婦、男女の絡みなど、覗いてはいけない官能の世界を金(きん)を使って描き、見る者を恍惚の世界へと誘います。


クリムトを唯一無二の巨匠たらしめているのは、乳白色の肌に血管が青く浮かび上がるような官能的な女性像に、平面的かつ装飾的な画法をまとわせる絶妙なるバランス=超絶技巧にあるように思います。


今回、クリムトについて事前勉強はせずに観に行きましたが、そんな私でも、彼の画法にジャポニズムを見て取ることができました。


リーフレットの絵「女の三世代」(写真下)は、女性の幼年期、成年期、老婆期を描いたものですが、成年期と老婆期の間にはパッチワークのような模様があります。この感じはまるで尾形光琳の「紅白梅図屏風」にインスパイアされたかのよう。


会場では、クリムトが見たであろうと思われる菱川師宣、喜多川歌麿、鈴木春信ら浮世絵師らの春画も展示されていました。

(浮世絵って本当にすごいカルチャーだったのねと、海外の巨匠たちの絵を見るたびに感じます)


圧巻だったのは,全長34メートルにもなる壁画「ベートーヴェン・フリーズ」の精巧な原寸大複製です。

騎士が幸福を求めて戦いに挑んでいき、ラストは男女の熱い抱擁で締めくくられる物語は、黄金をふんだんに使い、宝石のようにキラキラときらめく石を撒き散らし、壮麗なのに官能的で、ハッピーエンドなのに退廃的な世界を作る。

なのに、着物の絵柄のような模様に着目して見ていくと、まるで壮大な日本の「絵巻」のようにも見えてきます。


エロスと黄金装飾の巨匠は、ボーダーレスに耽美の世界を極めていたーー

そんなことを感じさせるクリムト展です。