僕の当たり小説

僕の当たり小説

小説を読む機会が増えました。きっかけは文章力がつくから読みなさいという

先輩からのありがたい強要。まあ、楽しみながら読んでおります。

面白い小説に当たったときなんか、うれしいもんです。ということで当たり小説をご紹介。


Amebaでブログを始めよう!
久々の投稿です。2年間の空白です。

で、貫井徳郎さん「空白の叫び」。
心に瘴気を抱える3人の中学生。その心を丹念に綴る長編小説です。

少年犯罪を扱った作品ですが、社会派小説ではありません。
ひたすらに、ひたすらに、少年の心を描写し続けます。
その描写力。さすが貫井作品。

少年たちはなぜ犯罪を犯したのか?なんてのは無視して
描かれるのはとことん人間の「悪意」です。

貫井さん。「乱反射」など悪意をテーマにした作品多いです。
こうした作品を読むと人間は悪意で生きている。なんて、思ってしまいます。

と、同時に貫井さん。人間ならば当たり前に持つ“悪意”。
それを否定する社会をさらに“否定”しているようにも感じます。
悪意を持って何が悪いんだと。そんなメッセージ。

人間は“悪”です。で、どうする?

なんか建設的な意見だと思うのです。

5つ星評価   ★★★★☆


垣根涼介著「借金取りの王子」でございます。


リストラを請け負うという変わった会社に勤める主人公真介。

彼はその仕事で様々な人生に出会っていく・・・。

山本周五郎賞受賞「君たちに明日はない」のシリーズ第二弾。


垣根さんの小説は大好きでほぼ読んでいるのですが

この本、最近読みました。

実はどうしても手に取りにくい事情があったんです。

まあ、しょうもない理由なのですが・・・。


私の仕事テレビディレクターは例外なく、

アシスタントつまりAD時代がありまして。

その時、女性ディレクターのみなさんに

あだ名を付けられたんです。「王子」と・・・。

北方謙三をこよなく愛する私にとって

その「癒し系男子」的なネーミングは

非常に屈辱的だったんです・・・。

以来、私・・・「王子」という言葉に敏感になった訳です。


ね、しょうもないでしょ。


で、この「借金取りの王子」。

サラ金業者に勤める男性が男勝りの女性上司に

「王子」とあだ名を付けられる設定・・・。

マジですか・・・と思いました。俺じゃん・・・。


そんなこんなありまして、この小説・・・

必要以上に感情移入し、読ませて頂きました・・・。


描かれる主題は様々なパターンの「女性と仕事」。

彼女たちは仕事に何を求めているのだろう・・・。

さらに女性にとって仕事ってなんだろう・・・。

そして僕ら男は「女性と仕事」にどう向き合うべきなのだろう・・・。


そんなことを考えさせる一冊でした。



5つ星評価 ★★★☆☆










私の枕元に置いてある本を紹介します。

人生でつまずいた時、手に取る一冊です。


梅原猛著 「梅原猛の授業 仏教」。


君は仏教信仰者かと問われることがある。

すると私は小学校は仏教系の学校であるし、

大学では仏教美術史を専攻していたので、

仏教好きではあるが信仰者ではありませんよと

答えるようにしている。


しかし、それは嘘で私は仏教信仰者である。


嘘をつくには訳がある。

政教分離を無視した宗教団体や

一部の新興宗教の悪さの影響だろう。

仏教信仰者と言った途端に

君は僕らとは違うのかとの目線を向けられる為である。


父方の祖母は在家出家した尼さんであるし、

父も日々、写経を怠らない仏教徒であった環境で育った私は

生まれながらにして仏様が隣にいた。

なので、異物として見られることがなんともむず痒い。

仏閣に赴き手を合わせるのだろうになぜその目つきを向けるのだろうと

何度も思った。

以前は仏教とは君らの印象とは異なるものであると

議論をけしかけたりもしたのだが、

今となっては嘘をついた方が得策と心得るに至ったのだ。


さて、私の秘密はこれまでにして、

本書は私の人生の書と言ってもよい一冊だ。


難解と思われる仏教思想が分り易く理解できる

数少ない本である。

仏教とは「波阿弥陀仏」や「南無妙法蓮華経」などと

唱えれば幸せになりますよ的な宗教でしょ。

などという考えをお持ちの方に是非、読んで頂きたい!


私は仏教とは「人生の教科書」なのだよと良く知人に

説明するのだが、読んで頂ければそれが分ると思う。


最後に一つだけ仏教の前提となる基本的な考え方をご紹介します。

それは「四諦」という考え方。

その意味をラフに言うと・・・。


「失恋や仕事で苦しいよ、楽になりたいよと言っているそこの君!

 人生とはそもそも苦しいものなのだよ。

 最初に言っておくけど死ぬまでその苦しさからは逃げられないからね。

 まずは人生が苦しいことを受け入れなさい。」


と、いう考え方。

仏教はここから始まります。意外じゃないですか?きっと。

救いがねえじゃんと思いますよね、きっと。


でも、そこから

「苦しさからは逃げられないのだから苦しさを苦しいと感じない

生き方を教えます。」と続くのだ。


とっても実践的だと思いませんか?

私は仏教の考え方に何度も救われた。


失恋しても・・・社会で挫折しても・・・

苦しいと感じないまでに達感はできないけれど・・・

「苦しいのは当たり前、苦しさを全身で受け止めて、また歩こう」

と本気で思えるのは仏教のお陰だと思う。