詐欺とマーケティングって似ているよね。どちらも、参入するべき市場を定め、ターゲットを定め、ニーズ・ウォンツを喚起する方法を考え、あの手この手のアプローチをしながら利益を上げている。はたして違いはあるのかな。
『天才詐欺師のマーケティング心理技術』(ダン・S・ケネディ著)という本がある。
この本は詐欺師の視点でマーケティングの秘訣を書いた本ということなんだろうけど、書いてある内容はマーケティングの本質だと思う。
この本の中に「他人が求めるものを得る手助けをすれば、手に入らないものなどない」という言葉がある。
他人が求めるものとは、顧客のニーズやウォンツのことだろう。
そのニーズ・ウォンツをかなえるためにありとあらゆる手を打てる人は絶対に商売で失敗しない。
これが、前後の文脈からみて著者がもっとも伝えたい主張だと思った。
ちなみにニーズとは「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」のこと、ウォンツは「承認欲求」「自己実現欲求」のことである。
図にすれば以下の感じである。
著者の主張は経験的に間違っていないと思う。
たとえば、自分が余命1カ月と診断されたとき、「地球の裏側まだ行って奇跡の水を持ってくる」という詐欺師が現れたらどう感じるだろうか。
生存欲求(生理的欲求のこと)に関する提案である。
もちろん心身ともに健康な人なら、こんな怪しい話に乗ったりはしない。
でも、本当に余命1カ月になってしまったらどうだろう。
藁をもすがる気持ちでついつい聞いてしまうかもしれない。
さらにその詐欺師が毎日のように通ってきてくれて、説得力のある話をしてくれたらどうだろう。
「詐欺でも構わない、この一部の望みに賭けてみるか」って気分になってもおかしくないかな。
この話はニーズに関するたとえだけど、この流れはウォンツでも一緒だ。
たとえば、整形手術というウォンツを持つ人で考えてみる。
もし仮に「あなたをモテモテのイケメンにできます」なんて詐欺師が現れたらどうだろう。
整形手術は生きていくうえでとくに必要なもの(ニーズ)でないのでウォンツなんだけど、こういうウォンツを持っていない人なら「こんな胡散臭い話に騙される奴はいない!」って思うことだろう。
でも、これが欲しくて仕方のない人がいるのも現実である。
壮大な広告、メディアの取り上げ、権威がありそうな雰囲気、執拗なフォローなど、これらを徹底されたら信じてしまうかもしれない。
これが詐欺師のマーケティングである。
さて、問題は詐欺とマーケティングの違いだよね。
考えを先に言ってしまえば、良心があるかどうかじゃないかな。
顧客のニーズ・ウォンツをかなえるためにありとあらゆることをするのはどちらも一緒だけど、良心があるかないかで詐欺かマーケティングかに分かれると思う。
長年いろんな経営者を見てきたけど「この人良心があるのか?」と思う人は少なからずいる。
とくに儲けいている経営者に多い気がする。
彼らのやり方を見ていると、まさに『天才詐欺師のマーケティング心理技術』に書かれているようなことをやっている。
たとえば次のやり方だ。
- 権威を使いたがる
- ターゲットを絞り込んだら徹底的に狙い、打ち続ける
- メディアを徹底的に使う
- 自信満々に売る
- 利用できるものはなんでも利用する
- 敵と味方がはっきりしている
- 回復力がすごい
- 顧客に対して徹底的なフォローをする

