「うちの会社の経営理念は社員重視である。」「社員と共に明るい未来を作ることが当社のビジョンである。」「なのになぜこいつらはやる気を発揮しないんだ。」このようなことを語る社長に何度か会ったことがある。どうして、社長と従業員の間でこのようなすれ違いが生じるのだろうか。
多くの経営者にとって会社経営は自己実現欲求と一体なんじゃないかな。
でもさあ、その会社の従業員にとっては、会社は働く場であり収入源に過ぎないんだよね。
日ごろからビジョンを熱くを語っている経営者にとっては耳の痛い話しだろうけど、現実はこんなものだ。
社長がこの認識の違いを理解しない限り、明るい社風づくりは難しいと思う。
というわけで、上に示したマズローの五段階欲求説の図を見ながら聞いてもらいたい。
もしあなたがある会社の従業員だとして、その会社が、就業規則が未整備で、残業ルールも休日出勤ルールも無く、社長の思いつきで手当が出たり出なかったり、賃金の計算や支払い方法も一定でなかったら、どう思うだろうか。
安全欲求が満たされないから、その会社に所属感を持つことは難しいんじゃないかな。
また、社長が会社を私物化して、投資の意思決定や業者選定も社長が一人で勝手に決めていて、また交際費も社長だけ自由に使っていたらどう思うだろうか。
きっと「この会社は社長の所有物であり、私は一賃労働者に過ぎない、言われたことだけやっていれば良い」と思うことだろう。
つまり、会社が安全欲求や社会的欲求を満たす場所でなかったら、いくら経営者が高邁なビジョンを掲げようとも、従業員が自発的になることは無い。
組織風土とは、社長の目から見たら従業員の資質の問題に見えるかもしれないけど、もちろんそんなことは無い。
活性化した組織とは、安全欲求・社会的欲求を満たす基盤の上に成り立っているものである。
今風の言葉で言えば「心理的安全性」である。
社長と従業員は根本的に視点が異なるってことを、社長は理解していないとブラック街道まっしぐらに成りかねない。
