お薦め、お勧め、お奨めの違いは以下のとおり。

 

お薦め=人やモノを薦める時に使う。

 

お勧め=行動を勧める時に使う。

 

お奨め=あまり使わない。(目標を持つ相手に対して使う)

 


■お薦め
漢字の「薦(セン)」は、廌(タイ:古代中国の伝説で羊に似た神聖な獣のこと)を祭る神前にささげる植物が語源だと言う。

 

草冠がついているのはそういうことだ。

 

まあ、要するに「お供え物」だ。

 

そこから転じて、人やモノを他人に推薦する意味合いが生じたらしい。

 

だから「この人をお薦めします」の意味は、「神に誓ってこの人は間違いありません」というニュアンスがあると言える。

 

いずれにしても、お供え物なので、この言葉を使う場合は「人」か「もの」に限られる。

 

「行動」に対してお薦めという言葉は使えない。

■お勧め
漢字の「勧(カン)」は、農作物の豊凶を占う意味があるらしく、そこから農作業に励むという意味が生じていると言う。

 

古代中国の状況を察するに、農業という集団行動を維持するために「マジメに農作業をやれよ」と勧めることがこの漢字の意味するところかな。

 

この推測が正しいかどうかは知らないけれど、「お勧め」には、人やモノそのものというより、それの活用や購入を促す意味合いがある。

 

要するに「行動」を促している。

 

さらに言えば、その行動を促すことで、集団維持的、道徳的、教条的なにおいがなくもない。

 

「自分たちのために」「こうしたらいいよ」と「他人の意思に働きかける」。

 

これがお勧めの意味なんだろうね。


■お奨め

漢字の「奨(ショウ)」は、語源的には犬に肉を食わせて行動を促す意味らしい。

 

何だかあまりよろしくない語源だけど、報奨金とか奨学金とか、現代でも「奨」の字を使った言葉には、語源のニュアンスは残っているようだ。

 

だからと言って、「奨」の字が悪い意味ってわけじゃなく、励ます、助ける、褒めるといったポジティブな意味がこの漢字にはある。

 

ここから分かることは、「お奨め」という言葉はそんなに使うことは無いということだ。

 

「オリンピックを目指すなら、この練習法がお奨めだ」と言ったように、明確な目標を持つ人に対しては使うことはあるけど、それ以外はあまり使う場面はない。

 

人やものをすすめる時は「お薦め」、行動をすすめる時は「お勧め」、この二つさえ使い分けることができれば十分だと思う。